デミグラスソースは、西洋料理の基本的なソースのひとつ。ハンバーグ、ステーキ、ビーフシチュー、ハヤシライス(ハッシュドビーフ)など、日本人が大好きな洋食に大活躍します。
デミグラスソースを家庭で作る場合、一般的なレシピとしては赤ワインを使いますので、当然合うワインも赤になります。また、ソースの材料に使う赤ワインは煮詰めて濃くなりますので、飲むワインもやはり濃いめのものがよいでしょう。また、ソースの材料にはケチャップと中濃ソースを使うのも一般的ですが、これらには甘みがあり、且つさまざまなスパイスが含まれていますので、ワインにもそれらの風味と共通する豊かな果実味とスパイス感があるものがよいと言えます。あとは、合わせる食材や、ソースの甘味・スパイスの量などによって、ワインも微調整するとよいでしょう。
ここでは、そういった特徴を備えた、デミグラスソースを使った料理に合う、2000円以内の安旨ワインをご紹介します。尚、下記の記事「ビーフシチューに合うワイン」でご紹介しているワインもデミグラスソースには合いますが、今回はそれらはあえて外し、当サイトでは初めての紹介になるものをピックアップしました。より選択肢を広げたい方は、下記の記事も合わせて参考にしてください。
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濃いめのピノノワール
冒頭で濃いめの赤ワインが合う述べましたが、そんな中でも、オムライス(オムレツ)やメンチカツなど、比較的軽めの料理にデミグラスソースをかける場合、ワインは「濃いめの中ではやや軽め」のものを合わせるのがよいでしょう。おすすめは濃いめのピノノワールで、地域としてはアメリカ、チリなどの温暖な地域のものです。こういった地域のピノノワールは、ブルゴーニュのものよりも全体的に果実味が濃厚で、樽に由来する甘い香りがあり、また酸味も控えめなので、デミグラスソースの果実味、甘味とよくマッチします。
ベリンジャー・ファウンダース・エステート・ピノノワール
(果実味たっぷり、親しみやすい味わいのカリピノ。ハーブやスパイスの香りがよいアクセント)
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グルナッシュ
濃いめで甘味の強いデミグラスソースには、グルナッシュ主体のワインがおすすめです。グルナッシュの大きな特徴は、ジャムやドライフルーツを思わせる凝縮した果実味で、元のブドウの糖度が高いため全般的にアルコール度数も高くボリューム感があり、一方で酸味は控えめ。またシナモンや八角などのスパイス香もあります。ナツメグを効かせたハンバーグなどのデミグラスソースとよく合うでしょう。
モンテプルチアーノ
いわゆる「濃いワイン」を造るブドウ品種にもいろいろありますが、その中で今回はイタリアのモンテプルチアーノをご紹介したいと思います。特徴は前項のグルナッシュによく似ており、ベリー系の果実味が豊かで、酸味は控えめ。シナモンなどの甘苦いスパイスの香りがありますが、グルナッシュに比べるとタンニン(渋み)は豊かで、よりしっかりとしたボディが感じられます。また、全体的に価格はお手頃で、コスパの高さも魅力です。ビーフステーキのデミグラスソースに合わせるのにおすすめ。
リパッソワイン
ここで一つ変わり種をご紹介したいと思います。「リパッソ」というワインの製法をご存知でしょうか?干しブドウから作る高級ワイン「アマローネ」を造る際に出た搾りかすを再利用し、通常の赤ワインを加えて再発酵させるという製法です。搾りかすの中にはまだ果実味やブドウのエキスがたっぷり残っているので、リパッソワインには濃厚な果実味や渋み、独特のコクがあり、飲み応え抜群のワインに仕上がります。それでいてアマローネより価格ははるかにお手頃。じっくり煮込んだビーフシチューによく合います。
カベルネソーヴィニョン
ここまでご紹介してきたワインはどれも果実味豊富な「濃いワイン」ですが、一方で「酸味が穏やか」という共通点もあります。酸味はワインの味を構成する大事な要素なので、ある程度ワインを飲みなれた人にとっては、これらのワインは「ちょっと甘すぎる」あるいは「深みが足りない」と感じるかもしれません。そこで、やはり捨てがたいのはカベルネソーヴィニヨンです。果実味・酸味・渋みというワインの味の三大要素が全て豊かなブドウ品種で、且つスパイスやハーブの香りもあり、複雑で力強いワインに仕上がります。王道はボルドーですが、凝縮感のあるボルドーはそれなりに高価です。そこで、チリやカリフォルニアなど温暖な地域のカベルネは、より果実味が濃く、福雑でありながら親しみやすさがあります。コスパを抑えつつ本格的な味わいのワインを楽しみたい方や、甘味抑えめの大人向けデミグラスソースに合わせるのにオススメです。