フルーツ(フレッシュフルーツ)とワインを合わせようと考える方はあまり多くないかもしれませんが、ピタリとマリアージュしたフルーツとワインは、それだけで素晴らしいデザートになるものです。ではどんなワインがフルーツが合うのかと考えてみると、香りが華やかで果実の風味をしっかり感じられるものがよいと言えるでしょう。樽熟成はしていないか、していても樽の香りが目立たない、フレッシュなタイプが望ましいです。ここでは、あえて甘口は除外し、幅広いフルーツに合う辛口ワインをご紹介します。
コノスル・シャルドネ・ヴァラエタル
シャルドネというブドウ品種は、気候や土壌、醸造方法によってさまざまに姿を変えます。例えばフランスのシャブリなどは酸味の豊かな超辛口で、フルーツの香りはレモンやライムのようです。一方、チリなどの温かい地域で造られるシャルドネは酸味穏やかで、さまざまな南国のフルーツような甘い香りがあり、フルーツと合わせるならこちらのタイプのほうがおすすめです。
ただし、この手のシャルドネのほとんどは樽熟成をしています。人それぞれかもしれませんが、木樽に由来するバニラやコーヒーの香りは、管理人はフルーツには合わないと考えています。そんな中、お馴染みのコノスルの「シャルドネ・ヴァラエタル」は、チリワインでは非常に珍しく、ステンレスタンク100%(木樽不使用)。果実味がダイレクトに現れており、桃、梨、りんご、オレンジ、マンゴー、アプリコットなど白~黄色の幅広いフルーツと合います。ちなみに、コノスルのシャルドネも「シングルヴィンヤード」や「レゼルバ」など上位のシリーズは樽を使用しているのでご注意ください。
ヴィーニャ・エスメラルダ/トーレス
当サイトは「〇〇に合うワイン5選」というスタイルで記事をまとめています。本来紹介したいワインは山ほどあるのですが、その中から毎回5つだけピックアップするという、なかなか難しい作業をしています。実は今回のフルーツの記事では、是非「ゲビュルツトラミネール」を紹介したいと思っていました。ライチの香りがあることで有名なこのワインは、当然ライチとは合いますし、似た系統のマンゴスチンやランブータンとの相性も間違いないでしょう。
一方「ミュスカ」も紹介したい品種の一つでした。マスカットの香りが華やかで、今話題のシャインマスカットなどマスカット系のブドウはもちろん、巨峰、ピオーネ、ナイアガラ等々、どんな食用ブドウともよく合います。
紹介するワインが増えるなぁ…と考えていたところで、素晴らしいワインを思い出しました。それが「ヴィーニャ・エスメラルダ」です。ミュスカ(モスカテル)85%、ゲヴュルツトラミネール15%という比率でブレンドされたこのワインは、どちらの品種もしっかり主張しており、まさにこれらの果物と合わせるのにも最適。またメロンやバナナとも合います。アルコール度数は11.5度とやや低め。辛口ですがほんのり甘みを感じる口当たりで、アルコールが強くない方にもおすすめです。
クラウディ・ベイ・ソーヴィニヨンブラン
ソーヴィニヨンブランと言えば、青々としたハーブの香りが特徴的な品種です。フランスのロワールやニュージーランドが有名ですが、比較的温暖なニュージーランドのものは、ハーブ香の他にも、熟した柑橘やトロピカルフルーツのような香りが華やかで、フルーツと合わせても大変魅力的です。特にグレープフルーツやオレンジ、キウイフルーツやパイナップル、バナナ、イチジクなどとよく合います。ハーブ香がフルーツにミントを添えて食べるようなアクセントになるでしょう。
ニュージーランドのソーヴィニヨンは1000円台から美味しいものが多数ありますが、ここぞというときには是非ちょっと奮発して、約3000円弱の「クラウディベイ」を味わってみてください。名門クラウディベイの凝縮感と瑞々しい果実味は一味違います。
ロジャー・グラート・カヴァ・ロゼ・ブリュット
色鮮やかなロゼ・スパークリングワインは、食卓に華やかさを加えてくれます。午後の昼下がりに、テラスで季節のフルーツをつまみながらロゼ・スパークリングワインを飲む…なんとも優雅な気持ちになるでしょう。
もちろんロゼ・スパークリングの魅力は雰囲気だけではありません。ロゼワインの味わいを改めて考えてみると、味わいは白ワインに近く、香りは赤ワインに近いものがあります。つまりそれだけ多くのフルーツの香り・風味と接点があるのです。また、シャンパーニュ製法で造られたスパークリングワインは、泡立ちがきめ細かく繊細で、旨味が深く複雑。さまざまなフルーツの果実味を引き立ててくれます。例えばスペインのカヴァなどは大変リーズナブルでおすすめです。
守備範囲の広いワインですので、基本的にはどんなフルーツとも合います。ここまでご紹介してきた白ワインに合うフルーツとも合いますし、赤ワインと相性のよいイチゴやチェリーなどと合わせると色合いにもピッタリです。また、グラスに注いだシャンパーニュの中に一口大に切ったフルーツを浮かべて、フルーツパンチ(ポンチ)風に食べるのもお洒落ですね。
ボジョレー(ヌーヴォー)
フルーツに赤ワインを合わせる場合、ライト~ミディアムのタイプがよいでしょう。あまりフルボディで渋みが強いタイプは、フルーツの爽やかな甘味・酸味をマスキングしてしまいます。
特におすすめしたい赤ワインはボジョレーです。ボディの重さもほどよく、一般的には樽熟成しないので、そのピュアな果実味がフルーツとはよく合います。またボジョレーにはシナモンやクローヴなどの甘苦いスパイスの香りがあり、これもちょっとしたアクセントになってくれます。
特に合うフルーツは、ストロベリー、フランボワーズ、ブルーベリーなどのベリー系、チェリー、アプリコット、プラムなどです。また、新酒であるボジョレー・ヌーヴォーの場合、その特殊な製法から、バナナの香りが生まれますので、バナナと合わせるのも面白いでしょう。