豚のバラ肉を甘辛い味付けで柔らかく煮込んだ「豚の角煮」。豚肉は比較的クセがなく、また食感が柔らかいことを考えると、合うワインはミディアムボディの赤。特に、その甘辛い味付けは、フルーティーで甘いニュアンスを感じるタイプと好相性です。ここでは豚の角煮に合うおすすめワインをご紹介します。
ちなみに、豚の角煮の調味には一般的には日本酒を使うと思いますが、これを安い赤ワインで代用すると、さらに赤ワインに合うようになります。是非お試しください。
ボジョレー(ヌーヴォー)
ミディアムボディでフルーティーな赤ワインと言えば、その代表格は「ボジョレー」です。特に、日本の豚の角煮とよく似た、中華の「トンポーロー(東坡肉)」には八角や五香粉などの甘苦いスパイスを加えるので、これらの香りがあるボジョレーは、その意味でも打ってつけ。豚の角煮に合うワインを選ぶときには、ボディの強さ(軽さ)や香り、ニュアンスなどの点で、ボジョレーを基準に考えるとよいでしょう。
マスカットベーリーA
そんなボジョレーと特徴がよく似ているのが、日本の「マスカットベーリーA」です。イチゴキャンディーのような甘い香りは本当にそっくりで、スパイス感はボジョレーほどありませんが、その代わりに日本のワインらしく、蒸かしたサツマイモや砂糖菓子のような香りがあります。味は基本的に辛口ですが、香りが甘いので全体に甘いニュアンスがあり、豚の角煮の甘辛さとよく合います。
グルナッシュ主体
甘いニュアンスのあるワインと言えば、もう一つ名前が挙がるのがグルナッシュです。豊かな果実味はイチゴやブルーベリーのジャムを思わせ、シナモンや八角などの甘苦いスパイスの香りがある上に、酸味が控えめなので、ボジョレーよりも甘いニュアンスの強いブドウ品種です。高級で超濃厚なものもありますが、豚の角煮と合わせるなら、むしろ手頃な価格帯でほどよく軽いもののほうがよいでしょう。
アメリカのピノノワール
ピノノワールと言うと、フランス・ブルゴーニュのものが有名で、繊細で上品、酸味が豊かな品種です。しかしアメリカなど温暖な地域のピノノワールは、果実味豊かで酸味が穏やか、甘い樽の香りがあるものが多く、全体的に甘い印象があります。軽さもほどよく、まさに豚の角煮と合わせるのにぴったりです。
メルロー主体
メルローの味わいの特徴を一言で表現するなら「こくまろ」。実際にはものによって印象はさまざまに異なりますが、全体的には、果実味豊かでまろやか、酸味は比較的穏やかで、ほどよいタンニンやスパイス、土の香りがワインにコクを与えています。メルローはボルドーなどの力強い高級品もありますが、手頃な価格帯のカジュアルなもので十分です。