「鶏肉に合うワインは何ですか?肉だから赤ワインですか?」などと聞かれることがあります。その問いに対しては「調理法次第」が答えとなります。鶏肉に限りませんが、どんな食材も、その調理法によって合うワインはガラリと変わってくるもの。特に鶏肉はクセのない白身の肉なので、調理法も幅広いさまざまなバリエーションがあり、「鶏肉に合うワイン」を一言で説明することは不可能です。
また一昔前は「肉には赤ワイン、魚には白ワイン」と言われていた時代もありますが、最近では「ワインは料理の色に合わせる」という考え方が主流になっています。ざっくり言えば、「料理の色が白っぽければ白ワイン、赤茶~黒のような色だったら赤ワイン」という考え方です。
そこでここでは、日本人にも馴染み深い鶏肉料理をいくつか考え、それらに合うワインをざっくり5つのタイプに分けてご紹介したいと思います。
リースリング(辛口)
リースリングの特徴は、シャープな酸味と、柑橘系の香り、豊かなミネラルです。「酸味・柑橘=レモン」「ミネラル=塩」と考えてみてください。塩とレモンをかけて食べたくなる鶏肉料理にはリースリングがよく合います。例えば「鶏のから揚げ」「鶏もも肉の塩焼き」「ローストチキン」「海南鶏飯(ハイナンチキンライス)」「チキンポトフ」などの料理におすすめです。
シャルドネ(樽熟成)
料理の色合いが白っぽく、こってりとした感覚の鶏肉料理には「樽熟成したシャルドネ」が合います。樽熟成したシャルドネの酸味はまろやかで、ヨーグルトやバターのような乳製品の香りがあり、また樽から来るナッツやバニラのような香ばしさやコクもあります。「鶏肉のクリーム煮(フリカッセ)」「鶏肉のグラタン」「チーズチキンカツ」「棒棒鶏(バンバンジー)」などクリーム、チーズ、ゴマを使った鶏肉料理と合わせると、食材とワインのコクが相乗効果を生み出すでしょう。
ピノ・ノワール
醤油や味噌を使って香ばしく焼いた鶏肉料理には、ミディアムボディの赤ワイン、特に醤油の熟成感や旨味に通じるものがあるピノノワールとよく合います。またピノノワールの酸味は梅に例えられることもあり、梅肉を使った調理法とも好相性です。料理としては「鶏肉の照り焼き」「鶏もも肉の味噌ダレ焼き」「鶏肉ときのこの味噌炒め」「鶏むね肉の梅肉ソース」などが挙げられます。
フルボディの赤
鶏肉をじっくり煮込んで仕上がり色のが茶色っぽくなった料理、特に黒コショウやクローブなどのスパイスをたっぷり使った料理には、フルボディの赤ワインが合います。料理としては「鶏肉のトマト煮込み」「鶏肉の赤ワイン煮込み」「チキンのデミグラスソース煮」「鶏肉の味噌煮込み」などです。ただし「トマト煮込み」に関してはちょっと微妙で、酸味や爽やかさが目立つ場合には、あまり濃い赤ワインよりはややミディアム寄り、あるいは前項のピノノワールなどがよいでしょう。
ロゼワイン/ロゼスパークリング
ここまでご紹介してきた通り、料理の色が「白っぽければ白ワイン」「茶色に近ければ赤ワイン」というのが料理とワインのマリアージュのシンプルな原則です。しかし、実際の料理では、白赤どちらとも決めかねる場合もあるでしょう。例えば「鶏肉のバター醤油焼き」では「バターなので樽熟成のシャルドネ?でも醤油なのでピノノワール?」と迷ってしまいます。他にも「チキン南蛮」「ねぎと鶏肉のチーズ味噌焼き」「鶏肉の醤油バターソテー」「タンドリーチキン」「鶏のちゃんちゃん焼き風」「鶏もも焼きおろしポン酢」なども白赤どちらかにしようか迷うところです。
迷ったときに白赤どちらを選ぶかは、個人の好みやそのときの気分もあるので、どちらを選んでも構いません。それでも、もしどうしても迷ったら、白と赤の中間のロゼを選びましょう。ロゼワインは料理のさまざまな要素と接点を持ち、どんな料理とも手堅く寄り添ってくれます。特にスパークリングのロゼ(中でもシャンパーニュ製法のもの)は懐が深く、最強のオールマイティーワインです。
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