一言で「中華料理」と言っても、その料理は幅広く、合うワインを選ぶのはなかなか難しいものがあります。一品一品を見れば「これとは絶対に合う!」というワインを探すのは難しくありませんが、中華のコース全体を見た場合、軽すぎず重すぎず、ある程度万能性があることが、合うワインの一つの条件になるでしょう。ここでは、守備範囲が広いことを念頭に置きつつ、中華に合うワインをご紹介します。
ロゼワイン(タヴェル)
中華料理に合うワインの定番とされているのがロゼワイン、特にタヴェルです。タヴェルが中華に合う理由は、一つにはタヴェルの主要品種がグルナッシュだということ。グルナッシュには八角、五香粉、赤ピーマン、赤唐辛子など中華でよく使われるスパイスや食材の香りがあり、本質的に中華的と相性が良いということが言えます。一方で、中華料理は皿数が多く、料理のタイプもさまざまなので、中間的なロゼが無難という考え方もあるでしょう。おすすめはタヴェルで、色も濃くて力強く、比較的赤に近いロゼワインです。
シャンパーニュ(シャンパーニュ製法のスパークリング)
守備範囲の広さを言うならシャンパーニュも忘れてはいけません。シャンパーニュは酵母に長期間接触して醸造されるため、普通のワインよりも旨味成分のアミノ酸が多く含まれています。当然中華料理の旨味(調味料?)との相性は良く、幅広い料理に対応するでしょう。シャンパーニュは高価なので、カヴァなどシャンパーニュ製法で造られた他地域のスパークリングで代用しても構いません。あるいはロゼのいいとこを取り入れた「ロゼスパークリング」にしてしまうのもよいでしょう。画像のロジャーグラートのロゼは、中華と相性のよいガルナッチャ(=グルナッシュ)が主体で、中華と合わせるのに持って来いのカヴァです。
ボルドーの白ワイン
中華にはごま油やごまダレを使った味付けが多く、それには樽熟成した白ワインがよく合います。シャルドネもよいのですが、ここであえてオススメしたいのはボルドーの白。ボルドーの白はほのかに潮の香りがするので魚介との相性がよく、またソーヴィニヨンブランが使われているので、パクチー(香菜)にも合います。ボルドーの白はかなり守備範囲が広く重宝するアイテムなのです。
ボジョレー
「ロゼワイン(タヴェル)」の項で、グルナッシュに八角の香りが含まれると述べましたが、同様に八角など甘苦いスパイスの香りがあるのがボジョレー(ガメイ)です。またボジョレーには特有の甘い香りがあるので、中華の甘辛い味付けとも好相性。トンポーロー(東坡肉)など八角を使った甘辛い煮込み料理には特によく合うでしょう。
アメリカのピノノワール
アメリカ人が中華によく合わせるのが、オレゴンやカリフォルニアなどアメリカ産のピノノワールです。たしかにアメリカのピノノワールは前項のボジョレーと似た系統なので中華に合うのも納得。違いとしては、ボジョレーよりは若干濃く、またより甘いニュアンスを強いということ。エビチリなどのようにちょっと甘い餡をからめた料理や、四川の辛い料理とは特によく合うでしょう。
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