「甘いものには甘口ワイン」これは料理とワインのマリアージュの原則の一つです。しかし、実は意外と難しいのがチョコレート。実は貴腐ワインなど「白の甘口」との相性はあまりよくありません。理由はチョコレートに大量に含まれるポリフェノール。ポリフェノールとは渋みや苦みの成分であり、白ワインには含まれていないことから、白ワインを苦く感じさせてしまうのです。また、白ワインは赤ワインに比べると酸味も多いことから、チョコレートの甘味とのバランスで、ワインの酸味が強調されてしまうという問題もあります。
というわけで、チョコレートに合うのは「赤の甘口」。果たして赤の甘口にはどんなものがあるのか?ここではチョコレートに合うワインをご紹介します。
※注:
フルーツチョコレートやホワイトチョコレートなど、チョコレートのタイプによっては、白やロゼの甘口に合うものもありますが、ここでは外見が黒~茶色の一般的なチョコレートを対象とし、赤ワインのみをご紹介するものとします。
ポートワイン
チョコレートに合うワインとして古くから定番とされているのが、ポルトガルの赤の甘口ワイン「ポート」です。赤ワインの発酵中にブランデーを加えることによって発酵を止め、ブドウの濃厚な甘みを残すとともにブランデーのアルコール分とコクを残します。最低2年は木樽で熟成するため、チョコレートやモカ、バニラのような芳醇な香りをまとい、まさにチョコレートと合わせるには最高の相性!
尚、赤のポートには「ルビー」と「トウニー」の2タイプがあり、上で説明したのは「ルビー」です。「トウニー」は古樽を使って熟成するためチョコの香りはあまりなく、ルビーよりも長期間熟成するため、色は淡く、独特の酸化した風味があります。例えるならトウニーは「紅茶」の風味と言えるでしょう。これはこれで味わい深いポートなのですが、チョコレートに合わせる場合は「ルビー」タイプをオススメします。
バニュルス
フランス人はチョコレートが大好き。しかし、上でご紹介した「ポート」が14世紀からポルトガルで生産されていたのに対し、実はフランスでは長い間チョコレートに合うワインがありませんでした。そんなフランスで産み出されたのが「バニュルス」。製法や風味はポートとよく似ているため、もちろんチョコートは抜群の相性です。バニュルスとチョコレートとのマリアージュは、あっという間に世界中の食通から支持されるようになりました。ポートとの違いをあえて挙げるとすると、アルコール度数がポートは19度~22度であるのに対し、バニュルスのほう18~19度とやや低め。また、ポートに比べると、より赤ワインらしさが残っています。
ランブルスコ(ドルチェ)
例えば昼下がりのテラスやパーティーなど、明るい華やかな雰囲気の場所でチョコレートを楽しむときは、赤の甘口スパークリング「ランブルスコ」もオススメです。優しい泡立ちと共に赤い果実の風味が口に広がり、優しい酸味と滑らかなタンニンとのバランスが絶妙な味わいです。ランブルスコには「ドルチェ(甘口)」「アマービレ(半甘口)」「セッコ(辛口)」などのタイプがありますが、オススメは一番甘い「ドルチェ」タイプです。ただし、樽熟成はしておらず、ポートやバニュルスに比べると軽い味わいなので、カカオ少な目のチョコや、イチゴにチョコをかけたスイーツ、ベリーが入ったチョコレートケーキなどとよりよい相性です。
マルサラ(ルビーノ)
ちょっと渋めのチョイスとしては、「マルサラ」をオススメします。イタリアのシチリア島で造られるワインで、製法はポートやバニュルスと同様に、発酵中にブランデーを添加することによって発酵を止め、甘味を残します。ちなみにマルサラはティラミスの甘味付けに使われるお酒としても有名。マルサラは、どちらかというと、白のほうが一般的ですが、赤の「ルビーノ」と呼ばれるタイプもあり、もちろんチョコレートと合うのはこちら。甘さのタイプも何段階かありますが、一番甘い「ドルチェ」タイプがオススメです。
アマローネ
ここまでご紹介してきたように、チョコレートには本来、赤の「甘口」を合わせるべきです。しかし中にはどうしても「甘口が苦手」という方もいるでしょう。そんな方には「アマローネ」をオススメします。アマローネとは陰干しして糖度を高めたブドウで造られる赤の辛口ワインです。陰干ししたブドウは、糖度だけでなくブドウの全てのエキス分が凝縮されているのでガッツリフルボディで、飲み応え抜群。辛口ではありますが、元のブドウの糖度が高いために口当たりはほんのり甘く、樽のチョコレートの香りもあるため、チョコレートとも好相性。辛口好きの方や濃い赤ワイン好きの方は是非お試しください!
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