料理とワインを合わせるときは、ハーブやスパイスなど、それぞれの共通する要素を探すことが多いですが、さすがにニンニクとワインの共通要素を探すことは困難です。
ではニンニクとワインが合わないかと言うと決してそんなことはありません。ポイントはニンニクとワインという異なる味の要素が組み合わさって、口の中で完成すればよいと考えること。また、世界にはさまざまなニンニク料理があるので、それらと合うワインが何か?と考えるのもヒントになります。ここでは、さまざまな視点から、ニンニク(料理)と合うワインを考えてみたいと思います。
ソーヴィニヨンブラン
にんにくと相性がよい味の要素の一つは「柑橘の酸味」です。想像してみてください。「えびのグリル・ガーリックレモン風味」「豚肉のソテー・塩レモンニンニクダレ」「あさりとにんにくのレモン酒蒸し」どれも美味しいに決まっていますよね。
もう一つ相性がよいのは「ハーブ」です。上に挙げたような料理はどれも仕上げにパセリを散らしたら美味しいですし、実際、フランスにはにんにくとパセリを刻んでバターに混ぜた「ブルギニヨンバター」というものがあり、エスカルゴには欠かせません。
そこで「柑橘の酸味」「ハーブ」と考えたときに結び付くのはソーヴィニヨンブランです。特に塩味メインで味付けしたにんにく料理とは相性が抜群で、料理にはレモンとハーブを使わずとも、口の中で同じ効果が生まれます。レモン重視ならロワールを、ハーブ重視ならニュージーランドを選ぶとよいでしょう。
アルバリーニョ
ニンニクを多く使う国として思い浮かぶのがスペインです。日本でも有名な料理に、エビをオリーブオイルでニンニクで煮込んだ「アヒージョ」があります。そこで、アヒージョに合うワインを考えてみたときに思いつくのが、白ワインのアルバリーニョです。海の潮の香りがあるのでエビと相性がよいというのがアヒージョに合う一つの理由ですが、それ以外にも、柑橘の香りがあるということや、ニンニクに負けない華やかな香りがあるということなど、アヒージョ=ニンニク料理に合う要素が揃っています。アヒージョ以外でも、「イカのガーリック炒め」「ムール貝の白ワイン蒸しニンニク風味」など、特に魚介のニンニク料理におすすめです。
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スパークリングワイン
「餃子」「枝豆のガーリック炒め」「砂肝のにんにく炒め」…ニンニクを使ったおつまみ系料理は、ビールを飲みたくなるものが多いです。これは、炭酸が、ニンニク独特の風味、辛み、スパイシーさを口の中で爽やかにしてくれるからでしょう。
そう考えると、スパークリングワインが合わないわけがありません。中でも、普通のワインよりもアミノ酸が豊富なシャンパーニュ製法のスパークリングワインがおすすめです。実は、ニンニク独特の風味の成分は、アミノ酸の一種「アリイン」が変化したもの。ただ爽やかなだけでなく、お互いの旨味がしっかりと調和してくれますし、さらには、白のスパークリングならどれも多少の柑橘やハーブの香りもあります。あらゆる点で、スパークリングワインはビールよりもずっとにんにく料理と好相性です。
シャンパーニュ製法のスパークリングワインと言えば、コスパが高いことで知られているのがスペインのカヴァ。アヒージョと合わせるのにおすすめのワインの一つでもあります。
ロゼワイン(タヴェル)
中華料理にはニンニクを多く使います。そんな中華料理に合う定番とされているのがロゼワインです。白と赤の中間ということもあって、幅広い料理に合いますし、黒ブドウの果皮から来る赤ピーマンやパプリカの風味は、ニンニクとセットで使われることの多い唐辛子の風味とも調和します。中華に限らず、ニンニク料理全般と合うと考えてよいでしょう。
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辛口がお好きなら、おすすめは南仏のタヴェルです。ロゼの中では濃い目で赤に近く、飲み応えがあります。あるいは、スパイシーで辛いニンニク料理には、ほどよい甘口のロゼ・ダンジュもよく合います。
ボジョレー
ニンニク料理に合わせる赤ワインを一つだけ選ぶとしたら、迷いますが、ボジョレーを選びたいと思います。ボジョレー(ガメイ)特有の果実やスパイスの華やかな香りはニンニクの香りの強さと釣り合いますし、ボジョレーのほどよいカジュアル感もニンニク料理とお似合いです。タンニンも強くないので、辛さとぶつかることもありません。
考えてみれば、ボジョレーワインのお膝元、フランスのリヨンでもニンニク料理は好まれています。「鶏肉のにんにくトマト煮込み(プレ・セレスティーヌ)」「じゃがいものガーリックソテー(ポム・ド・テール・ア・ラ・リヨネーズ)」、「フロマージュブランに生クリーム・ニンニク・ハーブを加えて混ぜたもの(セルヴェル・ド・カニュ)」等々、どれもボジョレーとの相性は抜群です。