老若男女、日本人ならきっと誰もが好きな唐揚げ。庶民的な総菜ですが、たまには洒落て、ワインを合わせてみませんか?いつもとは違う新しい味の発見があるはずです。ここでは、唐揚げに合うワインをご紹介します。
リースリング(辛口)
唐揚げに限らず揚げ物にはレモンを振りかけて食べる人が多いと思います。さわやかな酸味と香りのおかげで、こってりした揚げ物をさっぱりいただけるだけでなく、クエン酸が唾液や胃液の分泌を良くし、油の消化吸収を促す効果もあるそうです。「揚げ物+酸味」は人間が本能的に求める組み合わせなのかもしれません。
そこで、唐揚げには、レモンを彷彿させる酸味豊かなワインを合わせてみましょう。酸味の豊かなワインにもいくつか種類がありますが、オススメしたいのはリースリングです。リースリングの特徴は、シャープな酸味と、鉱物感の強いミネラルの風味で、唐揚げをレモンと塩でいただくような味わいになります。
リースリングはどの国のものでもあまり外れはありませんが、あえて選ぶならフランスのアルザス地方のものが、全体的に酸もミネラルも立っていてオススメです。ドイツのリースリングも高品質ですが、甘口が多いので、選ぶ際には注意が必要です。
ちなみに、最近は、複数人で唐揚げを食べる際にレモンをかけるかどうか?が論争の的になることがあります。レモン反対派のメンバーがいるときには、レモンはかけずに、リースリングで「口中調味」するとよいでしょう。また、唐揚げにレモンをかけると、どうしても衣のサクサク感が失われるので、その意味では、もしかしたら唐揚げの酸味はレモンよりもワインで補ったほうがよいのかもしれません。
シャンパーニュ(極辛口)
ビールを飲む人なら、唐揚げとビールが合うことはよく分かるはずです。これは、単純にアツアツの揚げ物とよく冷えた爽やかな炭酸が合うということもあるでしょうし、炭酸に含まれた酸味やビールの苦みが、唐揚げに味の要素を足してくれるからとも考えられます。ならば、同じ発想でワインもスパークリングワイン、特にシャンパーニュを合わせてみましょう。
シャンパーニュは、発泡性ということが注目されがちですが、味の面では、他のワインに比べ、旨み成分であるアミノ酸がたっぷり含まれていることが大きな特徴です。その他にも苦み・酸味・果実味など複雑な味わいを持っており、むしろビールよりも唐揚げを美味してくれるはず。難点は、ビールのペースで飲んだら大変なことになるということだけでしょう(笑)
また、シャンパーニュにはさまざまな甘辛度があります。通常流通しているのは「ブリュット」と呼ばれる辛口ですが、「エクストラ・ブリュット」や「ノン・ドサージュ(ドサージュ・ゼロ)」と呼ばれる極辛口もあり、酸味が特に苦手でない方は是非こちらを試してみてください。単体では「酸っぱい!」と感じるほどの酸味がありますが、これはまさにレモンを絞るのと同じ効果があり、唐揚げとの相性は抜群です。
ベレッシュ・エ・フィス・エクストラ・ブリュット各種
(シャンパーニュ注目の新星。香りが素晴らしく華やか。新鮮さと複雑さが共存した味わい)
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樽熟成したシャルドネ
料理とワインのマリアージュにもいろいろな方法があります。上の2つは、唐揚げのこってり感を、それと反対方向の爽やかな酸味で合わせようという発想でしたが、その逆に、ワインをあえて芳醇・濃厚なものにする同方向のマリアージュもあります。
このマリアージュには、樽熟成したシャルドネが最適です。樽熟成したシャルドネにはバターやナッツ、ハチミツなどを思わせる香りがあるほか、アルコール度数も全般的に高めで飲み口もリッチ。唐揚げと合わせると、唐揚げの油や鶏肉自体の旨み・甘みが強調され、ワインと唐揚げが共によりふくよかな味わいになります。かといって、このタイプのワインにも柔らかな酸味はありますので、決してくどくなることはありません。
このマリアージュは特に、唐揚げにマヨネーズやタルタルソースをつけて食べる方にオススメです。マヨネーズと、ワインのバターの香りはとてもよく合います。また、唐揚げにバター醤油をかけるとさらに合います。レシピは クックパッド等で紹介されていますので、興味のある方は試してみてください。
【クックパッド】【惚れる旨さ】唐揚げの「バター醤油味」に家族も大喜び♪
ゲビュルツトラミネール
唐揚げは、醤油と生姜で下味をつける人が多いと思います。生姜と言えば東洋のスパイス。スパイスに合うワインは、ゲビュルツトラミネールです。「ゲビュルツ(gewürz)」とはドイツ語で「香辛料」を意味しますが、その名の通り、ゲビュルツトラミネールには、白コショウ、コリアンダーシード、ジンジャーなどのスパイスの香りがあり、そのスパイシーさが味の接点となります。ゲビュルツには他にもライチやパッションフルーツ、バラなどの華やかな甘い香りもあり、唐揚げと合わせると、ちょっとエキゾチックな新しい味わいを生み出すでしょう。
唐揚げは普段通りの味付けでもよいですが、例えばクミンや山椒をふりかけたり、油淋鶏(ユーリンチー)風に長ネギのみじん切りをたっぷり入れた香味だれをかけるなどして、スパイシーさをちょい足しすると、さらにゲビュルツと寄り添います。
ボジョレー(ヌーヴォー)
ここまで紹介してきたものは全て白ワインでしたが、やはり唐揚げにはどちらかと言えば、赤よりも白を合わせたくなります。もし赤を合わせるなら、軽めのもの、ピノノワール、ボジョレー、マスカットベーリーA などがよいでしょう。この3つなら、どれを合わせても大外れはしませんが、どれか1つを選べと言われたら、ボジョレーをオススメします。
意外に思う方もいるかもしれませんが、ボジョレーの甘い香りとフルーティーで優しい味わいは、醤油ベースの和食とよく合います。この場合は、唐揚げの下味の醤油を接点にする発想です。また、ボジョレーには、クローブや八角など、ゲビュルツとは違う系統の甘いスパイスの香りもあり、唐揚げに新たな風味を加えてくれます。あるいは、唐揚げに五香粉をかけたり、下味に加えたりすると、ぐっと中華風の味わいになり、ボジョレーともさらに合うでしょう。
ボジョレーというと新酒のヌーボーが有名ですが、ヌーボーではない通年タイプのものもあります。また「ボジョレー・ヴィラージュ」と名のついたものは、ヌーボーであるなしを問わず、ただの「ボジョレー」よりも高品質です。一味違う上質のボジョレーを唐揚げと共に是非味わってみてください。