日本ではパスタの定番になっているミートソース。実は「ミートソース」とは日本人が作ったもので、本場イタリアでは、牛ひき肉を赤ワインやトマトで煮込んだ「ボロネーゼ」、または、具材をやや大ぶりに刻んだ煮込み料理の総称「ラグー」がそれに近いものになります。もっともワインとの相性を考える上では、これらはほぼ同じものと考えてよいでしょう。
方針として、ミートソースとは一種の肉の煮込み料理ですので、やはり合わせたいのは赤ワインです。煮込みと言っても、煮込む肉はひき肉か、またはさほど大きくありませんので、タイプはミディアムボディ。トマトの酸味との調和を考えると、ワインにもほどよい酸味があるものがよいでしょう。ここでは、イタリアワインの中からミートソースに合うおすすめの安旨ワインをご紹介します。
ロゼワイン
冒頭で「合わせたいのは赤ワイン」と述べましたが、トマト料理自体は白ワインにも合うものです。トマトの量が多めで、煮込みが比較的軽め、ソースの色合いにトマトの鮮やかな赤みが残っているようなタイプのミートソースには、白と赤の中間をとってロゼワインを合わせるのがよいでしょう。特に、パスタとサラダだけでランチにするような軽い食事の場合にはオススメです。
キャンティ
イタリアを代表するワインの一つに「キャンティ」があります。トスカーナ州の赤ワインで、イタリアの地ブドウ「サンジョヴェーゼ」を主要品種として造られます。キャンティにも「キャンティ・リゼルヴァ」や「キャンティ・クラシコ」などいろいろなタイプがありますが、一般的なミートソースに合わせるなら、最もスタンダードな「キャンティ」がオススメ。フレッシュな果実味と酸味が、ミートソースのトマトの風味とよく合います。よく煮込んだミートソースなら、より果実味濃厚な「キャンティ・クラシコ」でもよいでしょう。
バルベーラ
イタリアではサンジョベーゼに次いで多く栽培されている「バルベーラ」というブドウで造られるワインもオススメです。ワインのタイプとしては上で紹介したキャンティと似ていますが、比べると、バルベーラの方はより酸味が豊かなのが特徴。色が意外に濃いめですが、渋みは控えめのミディアムボディです。トマト味がしっかりしたミートソースとはとてもよく合います。
モンテプルチアーノ・ダブルッツォ
ここまでご紹介してきたように、ミートソースは本来しっかり酸味を感じられるタイプの赤ワインと相性がよいです。しかし、中には「ワインの酸味が苦手」という方もいるでしょう。そんな方には、上のキャンティやバルベーラから、酸味を少し引いて、その分果実味を足したような「モンテプルチアーノ」というブドウで造ったワインがオススメ。ご紹介しているファルネーゼはモンテプルチアーノの名人。約1900円の「カサーレ・ヴェッキオ」が「神の雫」で取り上げら爆発的人気となりましたが、その廉価版、1000円ちょっとの「ファンティーニ」も負けず劣らず素晴らしいです!
バローロ
スパイスをたっぷり加えてじっくり煮込んだミートソースや、イタリアンのラグーのようなミートソース、ちょっと気合を入れて作ったミートソースは、ワインもちょっと奮発して、より力強いタイプの赤ワインを合わせましょう。オススメは「バローロ」です。ネッビオーロというイタリアの地ブドウを使って造られ、色はやや淡いのですが意外に力強く、果実味・酸味・渋み、全てが高レベルでバランスがとれている、イタリアを代表する銘醸ワインです。バローロは本来高級ワインで、何万円という偉大なバローロも少なくないですが、中には2000~3000円というカジュアルなバローロもあります。まさにそういったカジュアルなバローロこそが、濃すぎず薄すぎず、このタイプのミートソースとほどよく調和します。
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