寒くなってくると美味しいおでん。日本酒で一杯…といきたい方も多いかと思いますが、実はワインもよく合います。おでんは、出汁と共に食材本来の旨味を味わう食べ物ですので、ワインと合わせるときは、出汁の旨味と調和しつつ、食材の旨味を引き立てる優しい味わいのものがよいでしょう。どちらかと言えば白ワインのほうが相性がよいとは思いますが、色濃いめで醤油味がたったものなら軽い赤ワインを合わせるのも悪くありません。ここではおでんに合うワインをご紹介します。
シャンパーニュ
おでんに合うワインとして最もおすすめしたいのがシャンパーニュです。シャンパーニュは長期間酵母に触れて醸造されるために、他のワインよりも旨味成分であるアミノ酸が多く含まれています。アミノ酸と言えば昆布出汁の旨味の主成分。シャンパーニュは最も出汁に近いワインとも言えるのです。特に昆布巻きとの相性は最高です。
またおでんにはさまざまな具材が含まれていますので、アミノ酸の多さは、それだけ多くの具材と接点になるというメリットでもあります。さらに言えば、シャンパーニュには土っぽいミネラルの香りがあるので、おでんの具材で人気の大根やじゃがいも等の根菜類とも好相性。あらゆる面でおでんと合わせるのに最適なのです。
甲州
ワインと料理のマリアージュの考え方の一つに「郷土の料理とワインを合わせる」というものがあります。和食であるおでんに合う日本ワインを一つ選ぶなら、ピッタリなのは甲州です。甲州ワインは全体的に果実味と酸味のバランスが良く、果皮や土壌に由来するほのかな苦みがアクセントになっています。何かが主張しすぎることなくおでんとまろやかに調和し、苦み=旨味が素材の持ち味を引き出します。
グリューナー・フェルトリーナ
ちょっと意外なところでおすすめしたいのがグリューナー・フェルトリーナです。オーストリアを代表する白ブドウ品種で、酸味が比較的豊富な爽やか系の味わいながら、塩っぽい苦みやハーブ、スパイスなど複雑な味の要素を持ち、和食を含むさまざまな料理に合います。その塩苦みから、魚介とも相性がよく、おでんのたこ、つぶ貝、各種練り物とも好相性。未体験の方は是非一度試してみてください。
ブルゴーニュのピノノワール
冒頭でも述べた通り、醤油味がたった濃いめの出汁のおでんに合わせるなら、軽めの赤ワインも合います。軽めの赤ワインにもいろいろありますが、おでんに合わせるなら、断然オススメしたいのはピノノワール、中でもブルゴーニュ産です。カベルネソーヴィニヨンなどと比べるとピノノワールは色が淡く、果実味や渋みも控えめで、悪く言えば薄めとも言えます。しかし、その香りは芳醇にして複雑、味わいは繊細ながらエレガントで、繊細な和食とは絶好の相性なのです。最初にご紹介したシャンパーニュのことを「最も出汁に近いワイン」と表現しましたが、ピノノワールはその赤ワイン版と言ってもよいでしょう(アミノ酸云々は別として)。
もっとも一言でもブルゴーニュのピノノワールと言っても、実際には造り手によってその味わいはさまざまです。おでんに合うのは、いい意味で薄い「薄旨」タイプ。画像のフィリップ・パカレはその代表格です。
ロゼワイン
色が薄めの出汁なら白ワイン、色濃いめの出汁なら赤ワイン(ピノノワール)がおすすめですが、そのどちらとも言えない場合もあるかと思います。そんなときはロゼワインを選びましょう。ロゼワインは世界にいろいろありますが、おでんに合わせるならやはりおすすめは日本のロゼです。
ロゼと言うと甘口のイメージがあるかもしれませんが、画像のシャトー・メルシャン「アンサンブル ももいろ」などは辛口で、幅広い和食に合うユーティリティワインです。あるいは、ちょっと甘口でも、ココファームの「ここロゼ」などは、みりん(砂糖)多めで甘みを感じる出汁とよく合います。出汁の味やお好みによって使い分けてみてください。
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