オムライスとは、オムレツ(オムレット)でチキンライスを包んだ料理。「オムレツ(オムレット)」自体はフランス料理ですが、実は「オムライス」は日本生まれの洋食です。
改めてオムライスの味わいを考えてみると、チキンライスはケチャップで味付けしますし、またオムライスの仕上げには普通ケチャップをかけるので、味の中心はケチャップと言えます。ケチャップ味は軽めの赤ワインが相性がよいですが、白ワインも悪くはありません。ただし、卵料理はワインとの相性において注意すべき点がありますので、そのあたりも踏まえながら、ここではオムライスに合うワインをご紹介します。
カヴァ(シャンパーニュ)
実は卵はワインとの相性が難しい食材ことで有名な食材の一つ。理由は卵の黄身特有の硫黄のような風味が、ワインと合わせたときに金属臭や生臭みを生んでしまうからです。鶏の卵だけでなく、イクラやキャビアなどの魚卵ともワインは合わせるのが難しいと言われています。
そんな問題を解決してくれるのがシャンパーニュです。瓶内二次発酵ならではのきめ細かい泡立ちが卵の黄身の難しい風味を包み込み、またシャンパーニュに含まれる豊富なアミノ酸が卵のタンパク質と寄り添います。ちなみにシャンパーニュはキャビアと合わせる定番ワインとされています。
とは言え、庶民的な料理のオムライスと合わせるにはシャンパーニュは高級過ぎる印象です。どちらかと言えば、同じ製法で造られるスペインのカヴァを合わせるのがふさわしいでしょう。
コノスル・シャルドネ・ヴァラエタル
卵とワインの相性が難しいと述べましたが、もちろん全く合わないということではありません。現にフランス、イタリア、スペイン…有名なワイン産地にさまざまな卵料理はあり、ワインと共に親しまれています。生卵を食べながらワインを飲むわけではありませんので、あまり神経質になることもないでしょう。
とは言え、やはり一つ気を付けておいたほうがよいのは、ワインの樽の香りは、基本的に卵の黄身の風味とあまり相性がよくないということ。これは白ワインにも赤ワインにも言えます。
そこで、白ワインを選ぶなら、おすすめしたいのは、コノスルのシャルドネ・ヴァラエタル(※最も低価格のタイプ)です。チリのシャルドネでは非常に珍しくステンレスタンク100%(木樽不使用)で醸造されており、果実味がダイレクトに現れるふくよかなフルーティーさが魅力。オムレツのまろやかでコクのある味わいとも調和します。コスパや入手しやすさの点でも申し分ありません。
キャンティ
ケチャップ風味=トマト風味と合わせるということを考えたときに、まず頭に浮かぶのがイタリアのキャンティです。フレッシュな果実味と豊かな酸味が特徴で、ドライトマトの香りがあるものが多く、トマトケチャップとの相性は抜群。ほどよい軽さもオムライスとよいバランスです。
ボジョレー
赤ワインと卵料理を合わせるときに気を付けるべきことは、一つは既に述べた「樽の香り」ですが、もう一つは「タンニン(渋み)」です。強すぎるタンニンは卵の黄身の風味とぶつかり、卵料理の繊細な風味を損なってしまいます。軽めの赤ワインがオムライスと相性がよいのもこれが大きな理由の一つです。
そんな軽めの赤ワインでおすすめできるもう一つがボジョレーです。イチゴやすみれの花などの華やかな香りとフレッシュな果実味は、前項のキャンティと特徴は異なりますが、やはりケチャップとはよく合います。また、「ウフ・アン・ムーレット(ポーチドエッグの赤ワイン仕立て)」というブルゴーニュ地方の郷土料理と合わせる定番の一つでもありますので、卵料理との相性という意味でもバッチリです。
マスカットベーリーA
前項のボジョレーとよく似た特徴を持つのが、日本の固有品種「マスカット・ベーリーA」です。強いてボジョレー(ガメイ)との違いを挙げるとすれば、より香りに甘いニュアンスが強く、造りによって、軽いもの、濃いもの、樽熟しないもの、樽熟するもの、とボジョレーよりも味わいの振り幅が大きいという面白さがあります。オムライスと合わせるなら、前述の通り、樽熟成していないピュアな味わいのものが好相性です。また、日本生まれのブドウ品種という点でも、日本生まれの洋食オムライスとはお似合いと言えるのではないでしょうか。
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