「モン・ドール」(正式には「ヴァシュラン・モン・ドール」)は、フランス・ジュラ地方とスイスで秋~冬のみつくられるウォッシュチーズの一つ。とても柔らかく、ウォッシュらしいコクと木(エピセア)の香り、ほのかな酸味が混然となった味わいは、一度食べたら忘れられない、魅惑的なチーズです。
合うワインはいろいろ考えられますが、力強い存在感のある白ワイン、少々クセが強いくらいのもののほうがよく合います。では具体的にはどんな白ワインか、また赤ワインならどんなものがよいか…ここではモン・ドールに合うワインをご紹介します。
サヴァニャン
冒頭でご紹介したように、モン・ドールはフランス・ジュラ地方のチーズ。ジュラ地方のワインはだいたいモン・ドールに合いますが、特におすすめしたいのはサヴァニャンです。サヴァニャンは「ヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)」の原料として有名なブドウですが、ヴァン・ジョーヌのように酸化熟成させない普通のタイプのワインもあり、ヴァン・ジョーヌ未体験の方はまずはこちらから試すことをおすすめします。サヴァニャンという品種はあまり知られていませんが、ハチミツやナッツの香りがかぐわしく、果実味・酸味共に厚みがある素晴らしい品種で、モン・ドールのコクと絶妙にマッチします。
もちろん「ヴァン・ジョーヌ」のほうもよく合います。しかし長期酸化熟成させた「ヴァン・ジョーヌ」はお高いので、代わりに「酸化熟成有り」や「ウイヤージュ無し」を謳った「ヴァンジョーヌでないサヴァニャン」でも十分近い味わいを楽しめます。サヴァニャンの魅力に目覚めた方は是非お試しください。
コート・デュ・ジュラ・エクスプレッション/ドメーヌ・グラン
(ボリューム感たっぷり。酸味に伸びがあり、ほのかな苦みも魅力。どんな食事にも合う)
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ゲビュルツトラミネール
ジュラ地方のお隣アルザス地方は、マンステールというウォッシュチーズが有名。合わせるワインは、ライチやスパイスの香りが華やかなゲビュルツトラミネールが定番です。ゲビュルツはウォッシュチーズ全般と好相性なので、モン・ドールともよく合います。モンドールにクミンを振りかけるとさらに合うので、是非お試しください。
熟成リースリング
同じくアルザス地方のリースリングは、豊かな酸味とミネラルが特徴。どちらかというと爽やか系のワインですが、その豊かな酸味とミネラルゆえに長期熟成が可能で、熟成させるとナッツやドライフルーツの香りが出てきて、素晴らしく奥深い味わいになります。この熟成させたタイプのリースリングはモン・ドールにとてもよく合います。
問題は熟成したリースリングを探すことですが、画像のシャトー・ドルシュヴィールなどは、古酒の蔵出しが比較的多い貴重な造り手。値段はさすがにそれなりにいってしまいますが、その味わいは十分に価格の価値があります。
熟成シャンパーニュ
シャンパーニュというと、発泡の爽やかな喉越しに注目されがちですが、実は他のワインと比べ旨味成分であるアミノ酸が多く含まれるワイン。モン・ドールのコクのある味わいとも多くの接点があり、泡が風味のクセを包み込んでくれます。熟成期間が長く味わいがより複雑になったものであればあるほど好相性です。
ボジョレー・ヌーヴォー
ウォッシュチーズには一般的に赤ワインが合うと言われていますが、何でもかんでも合うというわけではありません。タンニンが強すぎるものはウォッシュチーズの皮の風味とケンカしてしまいますし、かと言って軽すぎるものではワインがチーズの風味に負けてしまいます。ウォッシュチーズとお互いの風味を引き立てる赤ワインというのは意外と難しいのです。
そんな難しい赤ワインの一つが「ボジョレー」です。タンニンが強くなく、それでいて香りが華やかで果実味も豊か、甘苦いスパイスの香りもよいアクセントになり、ウォッシュチーズに合う条件が揃っています。ただし、果実味がなるべく濃いものがよいでしょう。新酒でない通年のボジョレーもよいのですが、秋~冬限定のモン・ドールには、同じく季節感のあるボジョレー・ヌーヴォーを合わせるとお洒落。ちょっとお高いですが、「ブルゴーニュの女帝」ことルロワのボジョレー・ヌーヴォー(プリムール)はベストです。
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