焼き鳥にワインを合わせるときに難しいのは、塩で食べるかタレで食べるかということです。塩で食べる場合は白がよいですし、タレで食べるなら赤が合います。とは言え、たいていの人はどちらか一方だけということはなく、塩で食べるものとタレで食べるものがあると思います。例えば砂肝は塩、レバーはタレという方が多いのではないでしょうか。そうなると、塩・タレどちらが多いか(好みか)を基準に決めるのがよいと思いますが、塩にもタレにも合わせたいと思うのも人情です。ここでは、そういった点を踏まえつつ、焼き鳥に合うワインをご紹介します。
ボルドーの白ワイン
上で述べたように、塩で食べるのがお好きな方には白ワインがオススメです。塩で食べる焼き鳥にはレモンが添えられることがあるように、ワインも同じ感覚で酸味豊かなものを合わせるとよいでしょう。一方で、焼き鳥には香ばしい炭火の香りがあり、これには樽熟成したワインの木樽の香りが調和します。この2つが両立するのがボルドーの白ワインです。ボルドーの白ワインにもいろいろなタイプがありますが、ソーヴィニヨンブランを主体にし、果実味が濃厚過ぎず、樽の香りもつけ過ぎないタイプのものがよいでしょう。オススメは「シャトー・レイノン」や「ル・セック・ド・レイヌ・ヴィニョー(辛口)」などで、価格帯的にも2000円前後と比較的手頃です。
シャンパーニュ(スパークリングワイン)
「焼き鳥にはビール」という人も多いと思いますが、それに似た感覚で、爽やかに発泡するスパークリングワインを合わせてみてはいかがでしょうか。特に「シャンパーニュ」または「シャンパン製法」で造られたスパークリングワインは、爽やかなだけでなく、トーストしたパンのような香ばしい風味もあるので、焼き鳥の炭火の風味ともマッチするでしょう。また、酵母に接触して醸造されるために旨味成分のアミノ酸が多く含まれるので、醤油ベースのタレの風味にもある程度対応します。白ワインがお好きな方が何か一種類で通したいというときにオススメです。
シャンパン製法のスパークリングワインでコスパが高いのはスペインのカヴァで、焼き鳥向けには「パゴ・デ・タルシス」は特にオススメです。
ロゼ(ロゼスパークリング)
塩からタレまで何か一種類で通すなら、もう一つの方法論は、白と赤の中間であるロゼです。塩・タレどちらにもドンピシャリで合うわけではありませんが、付かず離れずのほどよい距離感で無難に寄り添ってくれるでしょう。あるいは、ロゼのスパークリングも面白いです。
コート・デュ・ローヌ赤(グルナッシュ+シラーのブレンド)
タレで食べるのがお好きな方にオススメなのが、コート・デュ・ローヌの赤ワインです。コート・デュ・ローヌの赤ワインは、果実味豊富なグルナッシュと、スパイシーなシラーのブレンドでできているものが多く、これはまさに焼き鳥のタレに黒コショウをかけて食べるのと同じような効果があります。また、シラーには鉄や血のような風味もあるので、特にレバーのタレ焼きとは抜群の相性です。
ピノノワール
上でご紹介しているコート・デュ・ローヌ赤は、タレとは素晴らしいマリアージュを見せますが、ワインのインパクトが強いので、塩と合わせるのはなかなか難しいものがあります。そこで、赤がお好きな方が一種類で通すなら、ピノノワールをオススメします。ピノノワールは赤ですが、基本的に味わいがが優しく滋味深いので、塩の繊細な旨味も引き出しますし、特に熟成感のあるピノノワールは醤油のような香りが出てくるので、タレの風味にも合います。ピノノワールは、大まかに分けるとフランス産はより繊細で、ニューワールドのものはより果実味が濃く飲み応えがあるのが特徴。お好みで使い分けてみてください。