誰もに愛される高級食材エビ。香ばしい磯の香り、プリプリの食感、濃厚な甘味・旨味は、ワインと合わせることで美味さが倍増します。ワインとの相性については、同じ甲殻類であるカニと共通しており、以前ご紹介した「蟹に合うワイン」とほぼ同じと考えて差し支えありません。しかしここでは、その際ご紹介したワインはあえて避け、さまざまなエビ料理を踏まえた、エビ(オマール[ロブスター]を含む)に合うワインをご紹介します。尚、今回ご紹介しているワインは、いずれも比較的リーズナブルなものです。もう少し高級感が欲しい方や、より選択肢を広げたい方は、以下の「蟹に合うワイン」も参照してください。
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シャブリ
シャブリと言うと「牡蠣に合うワイン」というイメージを持つ方が多いかと思いますが、牡蠣に限らず魚介全般とよく合います。ポイントは、シャブリ地方の土壌に多く含まれるミネラル分で、これが甲殻類との味の接点になるということ。また、シャブリ特有の柑橘系の香りと豊かな酸味は、食材にレモンを振りかけて食べる効果があります。塩とレモンでシンプルにいただくエビ料理とは抜群の相性です。
ただし、実はシャブリにもさまざまなタイプがあり(特に近年)、選ぶのがなかなか難しい面もあります。特に「シャブリ・プルミエクリュ」や「シャブリ・グランクリュ」などの高級なシャブリの中には、豊か過ぎる果実味や樽の香りが、シンプルな魚介料理の邪魔になってしまうがものも少なくありません。選ぶなら樽熟成していないものが無難で、「シャブリ」とだけ書いてある比較的安価なものはちょうどよい可能性が高いです。画像のジルベール・ピクなどはオススメで、全てのラインナップで一切樽不使用、クラシックな味わいの素晴らしいシャブリを造っています。
グリューナー・フェルトリーナ
ちょっとした変化球では、オーストリアの代表品種、グリューナー・フェルトリーナもエビにはオススメです。グリューナーの味わいは、大まかには、ミネラルと酸味が特徴のリースリングと似ていますが、リースリングよりも酸味は控えめで、代わりに、ソーヴィニヨンブラン的なハーブのニュアンスや、ゲビュルツ的なスパイスのニュアンス、甲州的な苦みなどがプラスされ、より複雑な味わいが特徴と言えます。エビと合わせるなら、調理法はやはり比較的シンプルな方が合いますが、ハーブやスパイスを振りかけてグリルしたエビとは、よく合うでしょう。
アルバリーニョ
不思議なもので、沿岸地域でできるワインは魚介とよく合います。その一つが、スペイン・リアスバイシャス地方のアルバリーニョで、フローラルな甘い香りとは裏腹に、意外に酸味豊かなすっきり辛口で、海の潮(塩)を思わせるミネラル感が特徴です。シンプルなエビ料理と合わせてもよいですが、香りが華やかで存在感があるので、香りが強いエビ料理、例えばガーリックを効かせたグリルや、小エビであればアヒージョなどと合わせるのにオススメです。
ボルドー白(樽熟成)
エビは、バター焼きにしたり、バターソースでいただいたり、テルミドールやグラタンでホワイトソースと合わせたりなど、乳製品と合わせることもあるかと思います。そんな場合、ワインもあまりすっきり爽やか系ではなく、よりまろやかでコクのあるものと合わせたいところ。樽熟成した白ワインはこのタイプですが、かと言って、あまり樽が勝ちすぎていると、エビの風味を消してしまいかねません。
そんな難しいバランスを叶えてくれるのが、ボルドーの白です。実はボルドーも日本同様牡蠣を好んで食べる地域で、ボルドーの白は基本的に魚介類によく合います。ただし、ボルドーの白にもさまざまなタイプがあり、ここでオススメしたいのは、樽熟成したもの、且つ比較的安価なものです。このタイプはほどよくまろやかで、エビの風味を引き立てつつ、ほのかな樽香がバターと調和します。また、このタイプのワインはマヨネーズ味やエビフライのコクとも好相性です。
アントゥル・ドゥ・メール “キュヴェ・ローレンス”/シュヴァル・カンカール
(60%新樽で6ヶ月熟成。果実味豊かで味わいに厚みがあり、ハーブ香とほのかな苦みがアクセント)
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ロゼワイン
トマト風味のエビ料理、例えばトマトクリームパスタ、ブイヤベース、ビスク、チリンドロンなどには、その色合いからも、トマトの風味からも、ロゼワインが絶好の相性です。ロゼワインであればどこのものでも合わなくはないですが、最高の相性を求めるなら、是非沿岸地域のロゼを合わせましょう。例えばフランスのプロヴァンスはブイヤベースの郷土料理ですし、イタリアのシチリア島はマグロ、ウニを初めさまざまな魚介類の宝庫。いずれも魚介&トマトにバッチリ合う高品質なロゼワインが造られています。