ブイヤベースとは、南フランス・プロヴァンス地方の郷土料理で、魚介類を香味野菜やトマトなどと煮込んだ海鮮鍋のようなもの。元来、気取らない漁師料理なので、合わせるワインは、軽やかな白ワインまたは地元プロヴァンスのワインがよいでしょう。ここではブイヤベースに合うワインをご紹介します。
カシー(白)
ブイヤベースに合わせるワインとして最初に名前が挙がるのは、地元プロヴァンスの「カシー」です。マルセイユの海辺にあるカシー村で造られるワインで、一応、赤・白・ロゼがあるのですが、ブイヤベースに合わせるのは白が定番とされています。
白にしては濃い目の色調で、全体的にはさっぱり系のドライな味わいながら、果実味は芳醇。柑橘やハチミツの香り、優しい酸味は、日本のポン酢に通じるものがあります。海辺のワインらしい潮の香りもあり、ブイヤベースにはもちろん、日本の鍋にも抜群に合うワインです。
ラングドックの白
プロヴァンスのカシーは素晴らしい白ワインなのですが、どうしても割高感を感じてしまうのが難点。そこで、プロヴァンスのお隣、ラングドックの白ワインも選択肢に加えてもよいでしょう。ラングドックは伝統的に大量消費の安ワインを造ってきましたが、近年は品質が大きく向上しており、コスパが大きな魅力です。また、ラングドックは、ワイン産地はさほど沿岸ではないものの、やはり地中海に面した地域でもあります。郷土料理には「ブリード」というブイヤベースによく似た魚介の煮込み料理もあり、ラングドックの白はブイヤベースと合わせても間違いありません。
ボルドー白
南仏からは離れますが、魚介に合う白ワインという話になれば、ボルドーを忘れるわけにはいきません。大西洋に面しているボルドーは新鮮な魚介が豊富で、特に牡蠣の養殖は有名。そんなボルドーで造られるカジュアルな白ワインは、ほんのり潮の香りがあり、爽やかさと厚みのバランスもほどよく、魚介全般とよく合います。スーパーやワインショップで入手しやすいのもポイント。
プロヴァンスのロゼ
ここまでご紹介してきたように、ブイヤベースに合わせるのは白ワインが定番なのですが、一般的なブイヤベースはサフランやトマトの色がついたオレンジ~薄い赤色ですので、色合い的にはロゼワインがピッタリ。ちょうどプロヴァンスはロゼワインの生産が盛んな地域でもあり、個人的には、ブイヤベースに最も合うのはロゼワインではないかと感じています。
ピノノワール
本場のレシピでは、ブイヤベースに入れるのはフレッシュトマトで、煮込み時間は15~30分程度です。もしトマト缶を使い、あるいは煮込み時間を長くするなどして、トマトの風味が強く出たブイヤベースには、軽めの赤ワインが合うでしょう。プロヴァンスには軽めの赤ワインは少ないですが、ラウル・クレルジェのピノノワールなどはピッタリです。
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