葉巻(シガー)に合うワイン5選
職業柄、日頃タバコは吸わない管理人ですが、葉巻はたまにシガーバーで嗜むことがあります。チョコレート、コーヒー、バニラ、ナッツ、ラム、杉の木、スパイス等々、芳醇な葉巻の香りはまさにワインと共通するものがあり、葉巻とワインは素晴らしいマリアージュを生み出します。ワインとの相性を考える場合、上で挙げたような香りがあり、且つ、なるべく長期熟成したもので香りに複雑さが増したものが望ましいと言えるでしょう。ここでは、管理人お気に入りの、葉巻に合うワインをご紹介します。
リオハの赤(グラン・レセルバ)
冒頭で述べたような、葉巻にあるチョコレート、コーヒー・・・等の香りは赤ワインに多く、葉巻に合うワインは、白・赤どちらかと言えば、赤ワインのほうが多いと言えます。また、葉巻特有の発酵した複雑な香りに寄り添うためには、ワインは熟成したものが好相性です。
赤ワインで熟成したものは優れたものが多くありますが、中でもおすすめしたいのが、スペイン・リオハの「グランレセルバ」クラスのものです。リオハのワインの大部分は、最低でも24ヶ月、グランレセルバであれば60ヶ月という長期熟成を経て出荷する伝統があり、実はこれは世界的にみても大変珍しいもの。それでいて価格はリーズナブルで、開栓してすぐに熟成の複雑な風味を楽しむことができます。合う葉巻もいろいろありますが、特にモンテクリストやアップマンなどのハバナ産との相性が良いように感じます。
アマローネ
葉巻には熟成したワインが合うと述べましたが、葉巻は香りが非常に強いので、合わせるワインは、熟成させる前の段階でそれなりに力強いものである必要があります。むしろ強すぎるくらいがちょうどよいと言えるでしょう。その点、例えば、その対極のピノノワールなどは、繊細すぎて合わせるのは難しいと思います。
そこで、赤ワインでは、イタリアのアマローネなどもおすすめです。陰干しして糖度を高めたブドウで造られるアマローネは、ブドウの全てのエキス分が凝縮されるため、超濃厚ガッツリフルボディ。当然ながら長期の熟成を経てから出荷されるため、木樽に由来するコーヒーやチョコレートの香りが強く、また熟成によってほどよくこなれたジャミーな果実味は葉巻の甘い香りとよく合います。合わせる葉巻もフルボディのものがより相性がよく、アレック・ブラッドレイ・プレンサド・チャーチルなどは格別です。
ただし、アマローネはその手間のかかる製法ゆえ全般的にかなり高価です。格安でアマローネの味わいを楽しみたい方は、同じ製法で造られるチリの「ヴィーニャ・ファレルニア」もおすすめです。
ムルソー
ここまで述べてきたように、葉巻に合うワインは、どちらかと言えば白ワインよりも赤ワインに多く見つけることができます。これは一つには、赤ワインは白ワインと違い、抗酸化物質であるタンニン(ポリフェノール)があり、より長期熟成に耐えるためです。しかし、白ワインが熟成できないというわけではありません。白ワインでも、酸味やミネラルなどのボディがしっかりしたものは、長期熟成によって素晴らしい味わいに変貌を遂げます。
そんな白ワインの一つがムルソーです。ムルソーの多くは新しい木樽を使うため、若いうちはバニラやトーストのような香ばしい木の香りを感じます。これが熟成すると、まろやかにワインに溶け込み、ハチミツやナッツのような香りと共に渾然一体となり、感動的な味わいになります。アシュトン・クラシックのようなマイルドでクリーミーな葉巻と好相性です。
ムルソーには優れた造り手が多くいますが、トップ中のトップは残念ながら値段もトップクラスです。そんな中、トップどころの中では比較的リーズナブルでおすすめなのが、アルベール・グリヴォーです。ただし、グリヴォーも長期熟成ものになるとそれなりの値段になってしまうので、造り手を問わず、蔵出しの長期熟成ものを探してみるのもよいかもしれません。
シャンパーニュ
「シャンパーニュ(シャンパン)」と言うと、乾杯で飲む爽やかな飲み物というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、実は酵母と長期間接触して醸造されるため、通常のワインよりも旨味成分であるアミノ酸が豊富。また酸もミネラルも豊富なので長期熟成が可能。その旨みは複雑さを増し、葉巻の芳醇な風味ともしっかりマリアージュします。それでいて、きめ細かい炭酸が葉巻の余韻をほどよい加減でリセットしてくれるので、葉巻の次の一口の味わいの変化をまた新たに楽しむことができます。
おすすめは比較的長期間熟成させてから出荷するもので、一つはボランジェ。価格帯問わずどのタイプも熟成した枯れた風味があり、世界的に有名な名門でありながら値段もまずまずリーズナブルです。もう一つはエグリ・ウーリエの「VP」。なんと70ヶ月の熟成で、その複雑極まりないい味わいはまさに匠の技です。予算さえ許せばどちらもできるだけ古酒が望ましいです。トリニダッド・インヘニオスのような微妙なアロマの変化を味わえる葉巻とのマリアージュをお試しください。
マデイラ
最後の一つとしてご紹介したいのは、ポルトガルの酒精強化ワイン「マデイラ」です。加熱によって酸化熟成させるために独特の香りがあり、その香りは、ヘーゼルナッツ、ドライフルーツ、はちみつ、カラメル、醤油、コーヒー、タバコ、オレンジピール…などとさまざまに表現されます。白ワインが多いですが、赤ワインもあり、また辛口も甘口もあり、それぞれのマデイラで、さまざまなマリアージュを楽しめます。
おすすめの造り手はペレイラ・ドリヴェイラです。ポイントは、他社にはないようなオールドヴィンテージを数多く所有しているということ。5年や10年は言うまでもなく、なんと100年を超えるものも市場に出回っています。特におすすめは、ヴェルデーリョ(中辛口)の古酒と、パルタガス・ルシタニアスのグランレセルバとのマリアージュです。是非お試しください!