パテ(レバーパテ・パテドカンパーニュ)に合うワイン5選

「パテ」とは、ざっくり言えば肉やレバーのペーストのこと。有名なパテに「パテ・ド・カンパーニュ」がありますが、これは「田舎風のパテ」という意味で、豚や鶏のミンチに鶏レバーを加えます。また材料が鶏レバー中心の「レバー・パテ(レバー・ペースト/レバー・ムース)」も一般的です。
また「パテ」は「リエット」や「テリーヌ」との違いが紛らわしく、「何がどう違うのか?」ということがしばしば話題になります。厳密にはさまざまな違いはありますが、細かいことはさておき、少なくともワインとの相性を考える上では、これらはほぼ同じものと見なしてよいでしょう。
「パテ」「リエット」「テリーヌ」の重要な共通点は、いずれも肉加工品であり、ワインと相性がよいスパイスやハーブが使われるということ。どこにワインとの接点を見出すかによって合わせるワインはさまざまな選択肢が考えられます。選ぶのは本当に迷いますが、ここではパテ/リエット/テリーヌに合うワインをご紹介します。
ボジョレー
肉加工品に合うワインと言えばまず名前が挙がるのが「ボジョレー」です。ボジョレーにほど近い、美食の街フランス・リヨンは肉加工が盛んで、ボジョレーワインが好んで飲まれています。もちろんただ近いからという理由で飲まれているわけではありません。特にパテはそうですが、ソーセージやハムも含め、肉加工品は歯ざわりが柔らかいため、ボジョレーのような軽めの赤ワインとの相性がよく、またナツメグやシナモンなどの甘いスパイスの香りが、肉加工品に加えられるスパイスの香りと共通します。
コート・デュ・ローヌ赤
ボジョレーの他にリヨンで好まれているのが、やはりリヨンにほど近いコート・デュ・ローヌ産の赤ワインです。コート・デュ・ローヌの赤ワインはシラーとグルナッシュがブレンドされることが多く、シラーには黒コショウの香り、グルナッシュにはボジョレー同様にシナモンやナツメグの香りがあります。いずれもパテには加えられることが多いスパイスで、またシラーには血やなめし皮など動物的な香りがあるので、レバーとは特に好相性。価格的にも手頃な「コート・デュ・ローヌ・ルージュ」は重さもほどよく、「レバーパテと合わせるのに最適です。
ソーヴィニヨン・ブラン(トゥーレーヌ)
爽やか系のソーヴィニヨンブランをこってりとしたパテに合わせると言うと、意外に思う方もいるかもしれません。ところが、フランス・ロワール地方のトゥーレーヌ地区は豚肉のリエット(リエット・ド・トゥール)が郷土料理として有名で、相性のよいワインとしてトゥーレーヌの白(ソーヴィニヨンブラン)は定番の一つとされています。考えてみれば、リエットにもパテにも、タイムやローズマリー、パセリなどのハーブを加えるのは一般的。ソーヴィニヨンブランとの接点はしっかりあるのです。
タヴェル(ロゼ)
前項のトゥーレーヌにはロゼや赤もあります。赤はリエットやパテともなかなかよく合いますが、正直なところ、トゥーレーヌのロゼはちょっと弱い印象です。ただ、リエットやパテは軽めの赤と相性がよいので、赤に準ずるロゼを合わせる発想自体は悪くありません。そこで、ロゼを合わせるのであれば、断然オススメなのがタヴェルです。タヴェルはコート・デュ・ローヌ地方で造られるロゼで、ブドウはグルナッシュが主体。ロゼにしては色がかなり濃く、非常に赤に近いロゼで、グルナッシュらしい甘苦系のスパイスの風味が良く出ています。ロゼと言うと甘口というイメージを持って敬遠する方もいるようですが、タヴェルは必ず辛口。全般的にアルコール度数も高く、赤ワイン好きの方も満足すること請け合いの、飲み応えのあるロゼワインです。
ピノ・グリ
ここまで赤・白・ロゼとさまざまなタイプをご紹介してきましたが、最後にオススメしたいのはは白。アルザスのピノ・グリです。ピノ・グリの特徴は、果実味がかなり濃厚で、黄桃やハチミツなどの風味があり、酸味が控えめだということ。全般的にアルコール度数も高く、辛口でも口当たりがほんのり甘く感じられるものが多いです。このふくよかな果実味は肉の脂身の甘みを引き立てつつ、スパイスの風味を受け止める効果があり、まさにパテやリエットとの相性は抜群。ちなみにピノ・グリの甘口はガチョウや鴨のレバーであるフォアグラと合わせる定番ワインの一つとされています。尚、以前ご紹介した「フォアグラと合うワイン」も、パテに合うワインとほとんど共通しますので、併せて参考にしてください。
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