牛すじ煮込みに合うワイン5選
トロトロ食感と甘辛い味付けが美味しい牛すじ煮込み。合わせるワインは断然赤ワインで、甘辛い味付けにマッチする果実の甘味を感じるものがよいのでしょう。また、調理の過程で臭み取りをするとは言え、やはり牛肉特有の風味が強い部位なので、ワインにもそれに負けない香りがあり、できれば動物っぽいニュアンスがあるものが望ましいでしょう。ただし、味付けが醤油なのか味噌なのか、あるいはトマトや赤ワインを使った洋風なのか、あるいはあっさり系かこってり系かなどによっても調整が必要です。今回はそういった味付けやレシピも考慮に入れつつ、牛すじ煮込みに合うワインをご紹介します。
マスカット・ベーリーA
まず、比較的あっさり系の醤油ベースで和風の牛すじ煮込みに合わせるには、日本固有ブドウのマスカットベーリーAがおすすめです。蒸かしたサツマイモや砂糖菓子のような甘く華やか香りが特徴のマスカットベーリーAは、甘辛い味付けの和食全般と好相性ですが、牛すじの脂の甘味とも綺麗にマッチします。それでいて味わいは比較的軽やかなので、あっさり系醤油ベースの味わいを邪魔することもなく、ちょうどよいバランスで並び立ちます。
シャンテ ますかっとべーりーA Y Cube/ダイヤモンド酒造
(管理人の知る限りマスカットベーリーAの最高峰。味わい深く、樽香のバランスが絶妙)
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新世界のピノノワール
醤油ベースで煮つめて煮汁がより濃厚になったもの、あるいは味噌を少々混ぜてよりコクのある味わいの牛すじ煮込みには、新世界(アメリカやチリなど)のピノノワールがよく合います。新世界のピノノワールは、マスカットベーリーAと風味の系統はちょっと似ていますが、果実味がより濃厚で、樽やスパイスの風味がより華やか。概してアルコール度数も高く、口当たりに若干の甘味を感じるようなボリューム感があるので、濃いめの甘辛味と好相性です。
メルロー
牛すじのどて煮など、味噌の風味が強く出た味付けには、メルローがよく合います。味噌には発酵や熟成による特有の風味がありますが、これはワインが熟成して生まれる土や枯葉の香りに通じるものがあります。メルローは比較的若いうちからそういった香りが強く感じられる品種で、味噌味とは好相性。なお、牛すじ煮込みによく加えられるごぼうや大根、ニンジンなどの根菜には土の風味があるので、まさにメルロー向きの煮込み具材です。
またメルローは、肉っぽい動物的な香りがあるので牛すじという素材自体とも好相性。また果実味豊富なので甘辛い味付けとも好相性。甘辛い味噌味の牛すじ煮込みに合う条件を兼ね備えています。
キャンティ・クラシコ
牛すじはトマトを使った洋風の煮込みにしても美味しいものです。その場合、ここまでご紹介したワインも十分合いますが、より完璧なマリアージュを求めるなら、イタリア・トスカーナ州のキャンティがおすすめ。ポイントはトマトの酸味で、キャンティにはまさにトマトの香りと酸味があり、合わせることによってお互いの甘さや風味が引き立ちます。スタンダードなキャンティも悪くありませんが、牛すじ煮込みはじっくり煮込む料理ですので、ワインの方もより濃厚で複雑な味わいのキャンティ・クラシコと合わせるのがよいでしょう。
キャンティ・クラシコ ロッジャ・デル・コンテ/レ・キアンティジャーネ
(生産者協同組合が造っているので驚くほど安く、コスパが素晴らしい)
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ローヌワイン(グルナッシュ+シラー)
赤ワインをたっぷり使って煮込んだ、またはちょっと甘味を感じるデミグラスソースで煮込んだような、洋風且つよりコクがあり複雑な牛すじ煮込みに合わせる場合は、南仏コート・デュ・ローヌのワインを合わせるのがおすすめです。コート・デュ・ローヌの赤ワインの多くは、果実味豊かで凝縮感があるグルナッシュと、スパイシーで肉っぽい動物的な風味を感じるシラーのブレンドで造られますが、これはまさにこのタイプの牛すじ煮込みと絶好の相性。このタイプの牛すじ煮込みには、黒胡椒・ナツメグなどのスパイスやハーブを多めに加えるとさらに美味しくなりますよ。