おせちに合うワイン5選
お正月と言えばおせち。おせちにワインを合わせて楽しみたいという方もいるでしょう。しかし、洋風のオードブル(洋風おせち)ならいざしらず、昔ながらの和風のおせちにワインを合わせる場合、なかなか難しいところもあります。今回はおせちに合うワインをご紹介します。
シャンパーニュ
まずおせちにワインを合わせる大きな難しさは、さまざまな料理(具材)に合わせなければならないということにあります。おせち料理の中にはワインに合わせやすいものもあれば合わせにくいものもあり、またどちらかと言えば赤に合うものもあれば白に合うものもあります。
というわけで、1つのワインでおせち料理全てに合わせるのはなかなか難しいのですが、あえて1つ挙げるとすればシャンパーニュ(シャンパン)になるでしょう。シャンパーニュと言うと、乾杯で飲む爽やかな飲み物というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、実は通常のワインよりも旨味成分であるアミノ酸が豊富で、さまざまな料理(具材)との接点を多く持ちます。また、これはあまり科学的な話ではありませんが、炭酸には食材の多少のクセを包み込む働きがあるようにも感じます。さまざまな具材・料理を含むおせちにはまさにうってつけの万能ワインです。
おせちで言うと、特筆できるところでは、シャンパーニュにはゆでた根菜類の香りがあるため、例えば煮しめ等の根菜類の煮物とは絶好の相性です。また、一般的にワインと合わせることが難しい魚卵のカズノコとのマリアージュもシャンパーニュならOK。ただし、カズノコにはレモン汁を少し振りかけるとより合いやすくなります。
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シャンパーニュにもいろいろなものがありますが、せっかくのお正月ですので、少々奮発して長期熟成したものを選んでみてはいかがでしょうか。長期熟成したシャンパーニュは、旨みがより濃くまた複雑さを増し、おせち料理の具材とより広く深く寄り添います。おすすめの一つはボランジェ。価格帯問わずどのタイプも熟成した枯れた風味があり、世界的に有名な名門でありながら値段もまずまずリーズナブルです。もう一つはエグリ・ウーリエの「VP」。なんと70ヶ月の熟成で、その複雑極まりないい味わいはまさに匠の技です。
甲州(シュール・リー)
シャンパーニュと同じ白系統のワインでは、日本の甲州を合わせるのも面白いです。甲州は「シュール・リー(ワインを酵母と共に寝かせておく)」と呼ばれる製法を採るものが多く、実はこれはシャンパーニュと同じ製法。よってこちらもアミノ酸が豊富で幅広い料理・食材との接点を持ち、おせちにはピッタリです。
また甲州には果皮に由来するほんのりとした苦みがあり、これもまた和食とは好相性のポイントです。日本人は山菜や肝など苦い食材が好きですが、実は「苦み」は和食の大きな特徴の一つ。実は西洋料理では苦みを持つ食材は避けられます。おせち料理では、くわいやわらび、カズノコなどが苦みを感じる食材ですが、これらの味わいともうまく調和します。日本生まれのワイン甲州が和食と合うのは必然なのかもしれません。
マスカット・ベーリーA
とは言え、白系統のワイン一種類だけで通そうとすると、やはりどうしても全ての料理にドンピシャリで合うというわけにはいきません。もし可能であれば、是非料理に合わせて複数のワインを飲み分けることをおすすめします。白ワインで特に難しいのは、和食特有の醤油ベースの甘辛い味付けです。おせちの中では、昆布巻き、棒鱈の甘辛煮、ブリの照り焼きなどがそれに当たるでしょう。あるいは本来シャンパーニュが守備範囲の筑前煮も、味付け次第ではこちらの部類に入るかもしれません。このように見た目が茶色っぽい仕上がりになる料理には白ワインよりも赤ワインが合います。
ではどのような赤ワインがよいか?ピノノワールも捨てがたいところですが、ここでは日本ワインのマスカットベーリーAをおすすめします。蒸かしたサツマイモや砂糖菓子のような甘い香りが特徴的で、甘辛い味付けの和食とは好相性。また、魚介の生臭みの原因となる鉄分の含有量が少ないため、棒鱈・サバ・ブリ・めぬけ・タコなどの魚の煮付けと合わせるのに特におすすめです。
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シャンテ ますかっとべーりーA Y Cube/ダイヤモンド酒造
(管理人の知る限りマスカットベーリーAの最高峰。味わい深く、樽香のバランスが絶妙)
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ロゼ・ダンジュ
おせちにワインを合わせるときのもう一つの問題は、おせちには甘い料理が多いということにあります。例えば、伊達巻、錦卵、栗きん、黒豆、田作り(ごまめ)等々。また、前項で挙げた昆布巻きも一般的に味付けはかなり甘めかと思います。そんな甘い料理に、一般的な辛口ワインを合わせると、甘味と辛口でちょうどよいか思いきや、実はワインの酸味が強調されてしまうのです。
そこでおすすめしたいのは、ほんのり甘口のロゼワイン「ロゼ・ダンジュ」です。甘いワインと甘い料理を合わせることによって、ワインと料理それぞれの他の要素が引き立ち、深い余韻が生まれます。これこそまさにマリアージュの妙と言えるでしょう。「甘口」と言ってもあくまでほんのりですので、甘口ワインが苦手な方も違和感はないはず。また白と赤の中間のロゼですので、守備範囲も広いのもポイント。加えて言えば、アルコール度数はワインとしてはやや低めの10~11度ですので、酒量が増える年末年始には健康のためにもよいのではないでしょうか?
スパークリング日本酒
ここまでワインをご紹介してきましたが、正直を言うと管理人が和風のおせちに本当に合わせたいのは日本酒です。米のご飯が甘辛い味付けにも珍味系のおかずにも合うように、米で作った日本酒は、どんな料理・食材とも難なく寄り添います。言ってみれば、日本酒はおせちに対して全てを包み込んでしまうようなマリアージュ。ワインのマリアージュのように凹凸のピースがぴったりハマる感動はないかもしれませんが、味が幅広いおせちに合わせるには、懐の深い日本酒が一番ではないでしょうか。
しかしせっかくのお正月に日本酒では「ありきたりでつまらない」「お洒落じゃない」と思う方もいるかもしれません。そんな方には、スパークリング日本酒をおすすめします。例えば、画像の「水芭蕉ピュア」などは、シャンパーニュと同じ「瓶内二次発酵」製法で造られたもの。スパークリング日本酒には、にごりタイプも多いですが、こちらは完全に透明なので、見た目にもシャンパーニュにそっくり。華やかな香りと深い旨味があり、泡はきめ細やか。まさに日本酒の味わいとシャンパーニュのエレガントさを兼ね備えています。