ウニに合うワイン5選
ウニはワインと合わせることが非常に難しい食材の一つです。難しい理由は、主張の強い磯の香りで、多くのワインではウニの生臭さが強調されてしまいます。管理人自身、ウニと合わせる場合、飲み物を選べる状況であれば、正直なところ、確実にワインよりも日本酒を選びます。
とは言え、ウニにワインを合わさざるをえない状況もあるでしょう。実際、ウニに合うワインがないわけではありません。ここでは、ウニとワインのお互いを少しでも美味しく味わえる、ウニに合うワインをご紹介します。
シャンパーニュ(極辛口)
無難なチョイスになってしまいますが、難しい魚介に合わせる場合、やはりシャンパーニュを外すわけにはいきません。大きなポイントは、最低でも15ヶ月(通常は3~4年以上)という長い熟成期間によって、酵母からたっぷり溶け出たアミノ酸です。アミノ酸と言えば旨味成分であり、実はウニ特有の風味の多くもグリシンやグルタミン酸などと言ったアミノ酸によって作られています。さまざまなアミノ酸が融合することによる相乗効果が期待できます。
また、シャンパーニュは石灰質土壌に由来するミネラルが豊富で、ウニの磯の香りとも好相性です。鮮度が落ちると多少の生臭さが出ますが、そんな嫌な臭いがあっても、シャンパーニュ特有のきめ細かい泡が吸着してくれます。
ただし、なるべく酸が豊富で、単独で飲むと酸っぱいと感じるくらいの極辛口ものがオススメです(具体的には、「エクストラ・ブリュット」や「ノン・ドサージュ」などと表記されているもの)。これは例えるなら、ウニの握りを塩とレモンをいただく感覚に似ています。また、実際、ウニは醤油よりも塩とレモンで食べたほうが、より風味を味わうことができ、ワインとも合わせやすいので、是非試してみてください。
ベレッシュ・エ・フィス・エクストラ・ブリュット各種
(シャンパーニュ注目の新星。香りが素晴らしく華やか。新鮮さと複雑さが共存した味わい)
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甲州
和食としてシンプルにウニをいただくなら、日本ワインの甲州もオススメです。甲州ワインは一般的に「シュール・リー」という製法で、酵母に一定期間接触させておくため、シャンパーニュ同様に旨み成分が比較的豊富に含まれています。また、果皮に由来するほのかな苦みが、ウニの塩苦みともほどよく寄り添います。酸味は穏やかなので、レモンを振りかける感覚にはなりませんが、ワインの酸味が苦手という方にはむしろよいかもしれません。
もう一つ、甲州をおすすめできる理由があります。2010年のメルシャンによる研究によれば、魚介類とワインを組み合わせたときに生臭さを感じる大きな要因は、ワインに含まれる鉄分であることが判明しました。その鉄分の含有量が、甲州は外国産を含めた他のさまざまなワインの中で断然少ないのです。外れなくウニとワインを合わせるなら、甲州は手堅い選択肢と言えるでしょう。
アルザスのピノ・グリ
シャンパーニュ、甲州、と手堅いものが続いたので、このへんで一つ攻めのマリアージュをご紹介したいと思います。一般的に、あまり果実味が華やさなワインは、魚介の生臭さを強調してしまうと言われています。そんな果実味が華やかな品種の一つがピノ・グリです。セオリーから言えばウニとは合わないはずなのですが、実は管理人自身、あるときウニのクリームパスタとアルザスのピノ・グリを合わせる機会があり、その相性の良さに驚いたことがありました。バターやクリームと相まったウニの甘味・食感が、ピノ・グリの果実味と完璧に調和したのです。余韻にはお互いのミネラルが伸びていき、後味を奥深いものにするところも絶妙でした。
そこまで調和した大きな要因の一つは、ウニが、クリームやバターを使った洋風の味付けだったことが考えられます。バターやクリームはウニの生臭みを抑えると共に、ワインの芳醇な果実味と寄り添いやすくなります。また、ピノ・グリの果実味自体が、しっかりしてはいるものの中立的(ゲビュルツトラミネールやヴィオニエなどと比べ)で、特に強いフローラルな香りがあるわけではないということも一因でしょう。さらに言うと、ミネラルの豊富なアルザスのピノ・グリだったこともプラス・アルファで、これがアメリカやイタリアのピノ・グリ(グリージョ)だったら、これほどは合わなかったのではないかと思います。
ということで、洋風のウニ料理には是非アルザスのピノ・グリを試してみてください。ちなみに、そのときに管理人がウニのパスタと合わせたのは、ヴァインバックのピノ・グリでした。
ヴァインバック・ピノ・グリ各種
(収穫量を抑えた有機栽培で、ピュアでコクのある味わい。土壌の花崗岩に由来するミネラルも力強い)
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エトナ・ビアンコ
もう一つ、ちょっと意外性のあるところでご紹介したいのは、イタリア・シチリアの白ワインで、特にオススメしたいのはエトナです。シチリア自体は温暖な地域ですが、実はワイン産地は標高が高く意外に冷涼で寒暖差が大きく、非常にワイン生産に向いた地域。そんな中でも特にエトナは、島内で最も標高が高く、凛とした酸味と果実味のバランスがとれた素晴らしいワインが多く作られています。
またシチリアは四方を海で囲まれているため、海風の影響を受け、ワインは全体的に潮の香りを感じるミネラル感があります。特にエトナの白ワインはそのミネラルが力強く、魚介料理との相性は抜群です。尚、シチリアはウニの漁場としても有名です。
特にウニはパスタでいただくことも多いと思うので、その意味でも、パスタの国、イタリアのワインを合わせるのが一興でもあります。
スパークリング日本酒
いろいろと紹介してきましたが、冒頭でも述べたように、個人的に、ウニに合わせたいのはワインよりも断然日本酒です。米のご飯がウニと合うように、米で作った日本酒にとって、ウニのようなクセの強い魚介系珍味は、苦にするどころかむしろ絶好の相性です。
そうは言っても「日本酒ではお洒落感が足りない」と考える人もいるかもしれません。そこで、もし日本酒に足りないものが「お洒落感」だけだったら、「スパークリング日本酒」はいかがでしょうか?スパークリング日本酒には、にごりタイプも多いですが、画像の「水芭蕉ピュア」は透明で辛口なので、見た目にもシャンパーニュ的。また実際、シャンパーニュと同じ「瓶内二次発酵」で作られており、泡はきめ細やかで深い旨みがあり、味わいとエレガントさを兼ね備えています。もちろん辛口です。少々お値段は張りますが、ここぞと言うときには是非試してみてください。
水芭蕉ピュア/群馬・永井酒造
(世界初の瓶内二次発酵日本酒。パーティーやおもてなし、プレゼントで受けること間違いなし)
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瓶内二次発酵酒 あわ 八海山/新潟・八海醸造
(あの八海山もスパークリングに進出。こちらも透明・辛口で高レベル。水芭蕉よりもお安い)
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