ボルシチに合うワイン5選
おそらく日本で最も有名なロシア料理「ボルシチ」。ビーツの鮮やかな赤色が特徴的な、肉と野菜がタップリと入った「食べるスープ」です。ワインは幅広いものに合うので、さほど神経質になる必要はありません。一つポイントを挙げるなら、レモン、トマト、サワークリーム等による酸味の効いたスープなので、ワインも酸味が豊かなものがおすすめです。「酸味同士を合わせたらすごく酸っぱくなるのでは?」と心配することなかれ。酸味同士を合わせると、逆にお互いの甘味が引き立つのです。ここでは、ボルシチに合うワインをいくつかピックアップしてご紹介します。
ブルゴーニュのシャルドネ
マリアージュの鉄則の一つに「料理の色とワインの色を合わせる」というものがあります。ではボルシチには赤ワインしか合わないのかと言うと、そうでもありません。ボルシチの赤い色味は主にビーツやトマトなどのフレッシュな野菜によるものなので、味わい的には白ワインも十分マッチします。
こだわりたいのは、酸味豊かというポイント。酸味が豊かな白ワインにもいろいろありますが、おすすめしたいのは、ブルゴーニュのシャルドネです。チリなどの温暖な地域のものよりも一本筋の通った酸味があり、MLF(乳酸発酵)という工程から生まれるヨーグルトのような風味が、サワークリームと調和します。
オレンジワイン
近年世界中で注目されているオレンジワインもおすすめです。オレンジワインとは、白ワインを赤ワインと同じ製法で造ることによって、色がオレンジ色になったワインのこと。果皮も種子も丸ごと漬け込んで発酵させるため、色素だけでなくエキス分もよく抽出され、ナッツ、ドライフルーツ、紅茶 スパイス、ハーブなどの複雑な風味があります。ボルシチもハーブやスパイスを加えますし、煮込むことによってその風味は複雑になるので、多くの接点が感じられるでしょう。
キャンティ
ここまでご紹介してきたように、ボルシチには白ワインも合うのですが、料理の色合い的にはやはり赤ワインを合わせたくなるのが人情。赤ワインを合わせる場合は、あまり濃厚過ぎないミディアムボディ程度で、この場合もやはり酸味豊かなタイプが良く合います。そんなワインの一つが、イタリア・トスカーナ州のキャンティです。イタリアの地ブドウ、サンジョベーゼが主体のキャンティは、トマトを思わせる果実味・酸味があり、材料にトマトを使うボルシチとは相性抜群。キャンティは1000円程度の安いものでも十分美味しいマリアージュが可能ですが、牛肉や羊肉をじっくり煮込むなどした力作のボルシチには、ワンランク上のキャンティ・クラシコを合わせるのがおすすめです。
ピノノワール(ブルゴーニュ)
ミディアムボディで酸味豊かなタイプの赤と言えば、ピノノワールを忘れてはいけません。ピノノワールの出汁にも似た上品な旨味は、ボルシチの具材や旨味たっぷりのスープの味わいと調和し、お互いを引き立て合うでしょう。ただし、チリやカリフォルニア等温暖な地域のものは酸味が穏やかなので、どちらかと言えばピノノワールの本家、冷涼なブルゴーニュのものをおすすめします。チリ等のものに比べると全般的に高価ですが、ボルシチは滅多に作らないご馳走料理だと思いますので、ワインも多少張り込んだほうがバランスが取れるというものです。
辛口ロゼ
ここまでご紹介してきたように、ボルシチは白でも赤でも合います。とは言え、他の料理との兼ね合いで白か赤か決めかねるような場合もあるのではないでしょうか。そんなときは是非辛口のロゼを選んでみてください。白と赤両方の要素を兼ね備えるロゼワインはもちろんボルシチにもよく合います。辛口のロゼならどれを選んでも大きく外すことはないはずですが、少し色濃いめのロゼのほうが気分は上がるでしょう。以下にご紹介しているのはいずれも色濃いめです。