エポワスに合うワイン5選
ブルゴーニュ地方のウォッシュチーズ「エポワス」。クサいと言われるウォッシュチーズの中でもトップクラスのクサさで、ダメな人は全く受け付けないでしょうが、ハマると病みつきになります。管理人自身大好物で、よく食べるチーズの一つです。
エポワスに合うワインとして、「その土地のワインと料理は合う」という原則から、ブルゴーニュの赤(ピノ・ノワール)と白(シャルドネ)がしばしば紹介されます。しかし、管理人はこのマリアージュには反対です。ブルゴーニュワインの味わいは概して繊細で、エポワスの強烈な個性に負けてしまうからです。エポワスに合うワインの条件の一つは、エポワスに負けない個性です。ここでは、エポワスに合うワインをご紹介します。
マール・ド・ブルゴーニュ
エポワスは、ワイン用ブドウの絞りかすを蒸留して造られるブランデーと塩水とでその表面を洗いながら熟成させます。このブランデーのことを「マール・ド・ブルゴーニュ」と呼びますが、これはその土地の飲み物でもあり、その製造過程からも、エポワスと合わせるのに間違いない組み合わせです。香ばしい木樽の香り、ほのかなブドウの香り、ブドウの種や皮に由来するスパイスの香りがあり奥深い味わいで、40度前後というアルコール度数から、エポワスに負けない飲み応えもあります。ワインと言うよりはハードリカー(スピリッツ)ではありますが、イケる口の方にはオススメです。
マール・ド・ブルゴーニュ “ア・ラ・マスコット”/ルイ・ジャド
(ルイ・ジャドの品質はマールでも安心・安定。マールの中では価格的にもお手頃)
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カリフォルニアのピノノワール
冒頭で、ブルゴーニュのピノノワールはエポワスにはオススメしないと述べましたが、カリフォルニアのピノノワールならOKです。「カリ・ピノ」の特徴は、濃厚な果実味と強い木樽の香りで、「ブル・ピノ」と比べると繊細さには欠けますが、その主張の強さはエポワスに負けないというメリットにもなります。
もちろん、ただ主張が強いだけではありません。その果実味はエポワスにジャムを添えて食べる感覚になりますし(※チーズは全般的にジャムが合います)、木樽の香りは、「モン・ドール」の外皮エピセアを思わせ、風味に広がりを与えてくれます。エポワスに限らず、ウォッシュチーズに「木樽の香り」はよく合うので、他のチーズとワインを合わせるときにも参考にしてみてください。
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カレラ・ジョシュ・ジェンセン・セレクション・ピノノワール
(ワンランク上のカリ・ピノ。力強く野性的な味わいながら、エレガントにまとまっている)
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ボジョレー
地元同士ということでブルゴーニュの赤を合わせるのなら、ピノノワールではなくボジョレー(ガメイ)がオススメです。ガメイの特徴はラズベリーやフランボワーズなどの華やかなベリー系の甘い香りで、カリ・ピノ同様のジャム感覚を楽しめます。
ボジョレーと言うと、軽やかな味わいの「ヌーヴォー(新酒)」のイメージが強いかもしれませんが、通年タイプの「ボジョレー・ヴィラージュ」の中には力強いものもあり、「クリュ・ボジョレー」と呼ばれる10銘柄は長期熟成可能で複雑な味わいです。是非ヌーヴォー以外のボジョレーとエポワスのマリアージュを味わってみてください。
ゲビュルツトラミネール
個人的には、家でエポワスを食べるときに一番合わせる機会が多いのが、ゲビュルツトラミネールです。ゲビュルツの特徴はライチやパッションフルーツ、バラなどの華やかな甘い香りと、白コショウ、コリアンダーシード、ジンジャーなどのスパイスの香りで、その香りの強さはエポワスとしっかり並び立ちます。また、ほのかな甘みがエポワスの塩気ともよく合います。
ちなみに、ゲビュルツトラミネールはアルザス地方のウォッシュチーズ「マンステール」と合わせるのが定番とされています。ゲビュルツとウォッシュチーズの相性は証明されていると言ってもよいでしょう。もっと言えば、ゲビュルツの香りの華やかさ・複雑さとほのかな甘みは、チーズ全般と合う要素が揃っています。チーズ好きの方は常備しておくべきワインです。
コノスル・ゲヴュルツトラミネール「ヴァラエタル」または「レゼルバ」:
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シェリー(アモンティリャード、ミディアム等)
最後に、ちょっとした変化球としてご紹介したいのがシェリーです。シェリーとは独特の熟成香があるスペインの酒精強化ワイン(白ワインの一種)で、さまざまな種類があります。どれもエポワスとは合います。その中でも、特にオススメしたいのが「アモンティリャード」と呼ばれるタイプの辛口です。そのほどよい酸化熟成のニュアンスと、ヘーゼルナッツやクルミ、ドライフルーツなどの複雑な香りは、エポワスの発酵食品特有の香り・旨みと相性が抜群です。
ただし、アモンティリャードはそれなりにクセが強いので、もしかしたら苦手と感じる方もいるかもしれません。その場合、アモンティリャードをベースにしたやや甘口タイプの「ミディアム」をオススメします。エポワスとの相性のキーになる、良い意味でのクセは残しつつ、甘さのおかげでクセは柔らぎます。また、そもそもチーズ全般と甘口ワインは相性がよいものです。