グラタン・ドリア(ホワイトソース)に合うワイン5選
グラタンとは、肉や野菜をホワイトソース(ベシャメルソース)で和えてオーブンで焼いた料理のこと。ドリアとは、ごはんなどの米料理にホワイトソースをかけて焼いたもの。ワインとの相性を考える上では、このホワイトソースがポイントになります。尚、ホワイトソースを全く使わないミートソースのグラタンやドリアについては、以下を記事を参照してください。
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ホワイトソースに合うのは、その色合いからも想像できる通り、基本的には白ワインです。ただし、白ワインならなんでもよいわけではありません。白ワインには、「乳酸発酵(MLF=マロラクティック発酵)」をしたタイプとそうでないものの2種類があり、ホワイトソースに合うのは断然この乳酸発酵をしたタイプです。ワイン(ブドウ)には多かれ少なかれ酸味がありますが、乳酸発酵をすることによって、酸味がまろやかになり、バター、ヨーグルト、チーズのような乳製品の香りが出てくるため、バターと生クリーム(牛乳)で作ったホワイトソースと合うのです。
しかし、どんなワインが乳酸発酵をしているのか?については、情報を開示していない造り手も多く、一般の人にはなかなか分かりづらいところです。ここでは、そのあたりの解説も交えながら、ホワイトソースを使ったグラタンやドリアに合うワインをご紹介します。
樽熟成したシャルドネ
乳酸発酵(MLF)をした白ワインの代表は、樽熟成をしたシャルドネです。樽熟成によって加わる香りの中には、ナッツ、バニラ、ココナッツミルクなどがあり、乳酸発酵に由来するバターやヨーグルトの香りとも親和性が高く、ホワイトソースとの相性は抜群です。また、ローストの強い樽からはトーストやスモークの香りがすることがありますが、これはこれでのグラタンの焦げた風味とよく調和します。どんな具材のグラタンも、樽熟成したシャルドネを選んでおけば間違いありません。
問題は、どんな白ワインが樽熟成をしているか?ということですが、フランスであればブルゴーニュのある程度高級なものは樽熟成していると考えてよく、特にムルソーはバターやナッツの香りがするものが多いのでおすすめです。また、チリ、カリフォルニア、オーストラリアなどのニューワールド地域のものは、安くても樽熟成するものが多いです。ただし、メジャーなものの中では、コノスルのシャルドネ・バラエタルは樽熟成していないので注意してください。
シャンパーニュ(MLF有)
シャンパーニュというと、爽やかな泡と酸味ですっきりさっぱりした飲み物というイメージがあるかもしれませんが、実はさまざまなタイプがあります。中には乳酸発酵(MLF)するものもあり、このタイプは爽やかな中にもクリーミーさを感じるまろやかな味わいのものが多く、グラタンなどのクリーム系の料理にもよく合います。
また、シャンパーニュはどんなタイプであれ、醸造過程で必ず酵母と長時間接触させる「シュール・リー」という製法を用います。これによりワインは旨味を増し、また香りにはパンを思わせるイースト系の香りが現れます。この香りは乳酸由来の香りと相乗効果をもたらし、グラタンをより美味しくしてくれるでしょう。是非、シャンパーニュを食中酒としてじっくり味わってみてください。
ジョセフ・ペリエ・キュヴェ・ロワイヤル・ブリュット
(オーソドックスな造りで安定高品質。ノーベル賞の晩餐会で振舞われたことでも知られる)
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ピノ・グリ
ピノ・グリ(ピノグリ)という品種の特徴は、豊かな果実味と穏やかな酸味です。イタリアでは(呼び名は「ピノ・グリージョ」)、酸を残すために早めに収穫して軽やかな味わいに仕上げるスタイルが主流ですが、フランス等のそれ以外の地域では、本来の特徴を生かして、まろやかでコクを感じる味わいのものが多いです。グラタンと合わせる場合は、やはりこのタイプがよいでしょう。乳酸発酵はしないものでも悪くはないですが、やはりしたもののほうがが望ましいです。
また、ピノ・グリは果皮がグレー(薄い紫)がかっており、果皮に由来するほんのりとした苦みがあります。この苦みはブロッコリーやホウレン草などのちょっとえぐみのある野菜使ったグラタンと好相性で、また果実味と相まって蒸し栗のような後味も感じるので、カボチャを使ったグラタンと合わせるのもよいでしょう。
ピノ・グリ・バリック/ドメーヌ・オステルタッグ
(アルザスでは珍しいMLFしたピノグリ。樽発酵、樽熟成、シュールリー。全ての要素が力強い)
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アルバリーニョ(MLF有)
アルバリーニョというブドウ品種をご存じでしょうか。スペインのリアスバイシャス地方で有名な品種で、白桃や花などの甘やかな香りがありながら、豊かな酸とミネラルでキリリと引き締まった味わいの魅力的な辛口です。最近は他地域でも栽培されていますが、リアスバイシャスのものは、海風の影響を受けて潮の香りをしっかり感じるものが多く、魚介との相性が抜群です。エビ、牡蠣などのシーフードグラタンと合わせるときの選択肢として面白いでしょう。
ただし、アルバリーニョは一般的には乳酸発酵(MLF)はしないものが多いということに注意してください。乳酸発酵しないアルバリーニョは、ホワイトソースと合わせると強い酸が目立ってしまい、相性は今ひとつです。それでも、最近は乳酸発酵をしてまろやかでコクのある仕上がりにする造り手も増えてきています。乳酸発酵したアルバリーニョは価格がやや割高になる傾向はありますが、グラタンと合わせる場合はこのタイプを選ぶことをおすすめします。
ロゼワイン
ここまでご紹介してきたように、ホワイトソースを使ったグラタンに合うのは、基本的には白ワインです。しかし中には、ホワイトソースをベースにしながらも、ミートソースなどトマトベースの味を足したグラタンやドリアを作ることもあるでしょう。その場合は、ロゼワインと合わせるのがオススメです。ロゼワインは、赤ワイン用のブドウ品種を使っているのでほんのりとベリー系の果実味があり、それでいて重すぎることなく、酸味爽やかなトマト料理との相性は抜群。また、ロゼワインは、魚介の美味しいフランス・プロヴァンス地方の名産ですので、トマトソース+魚介のグラタン・ドリアと合わせるのもよいでしょう。
ただし、ロゼワインは白と赤の中間とよく言われますが、実はその味わいはどちらかというと白に近いワインです。冒頭でも述べた通り、ホワイトソースを使わないトマトソース(特にミートソース)のみのグラタン・ドリアには、ロゼワインよりも軽めの赤ワインがオススメです。
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